高齢者でも参加できる国際スポーツ大会が開催へ
「ワールドマスターズゲームズ2021関西」に注目集まる
東京オリンピック・パラリンピックが開催され、世間の注目を集めています。そんな中、コロナ禍の状況を踏まえて延期となっていた「ワールドマスターズゲームズ2021関西」が開催されます。
この大会は、「生涯スポーツの祭典」として開催され、30歳以上なら誰でも参加できることが特徴です。
年齢別に種目が分けられており、メダリストが1万人以上誕生することもあるそうです。
例えば100m走では、100歳以上の部門が設けられており、101歳の女性がメダルを獲得したこともありました。
競技は野球、サッカー、柔道、水泳、トライアスロンなど59種目に及びます。中には高齢者のスポーツと呼ばれるゲートボールも含まれています。
1985年のトロント大会を皮切りに、4年ごとに世界各地で開催。これまでに延べ17万人のスポーツ愛好家が参加。これまでの参加者数はおよそ各回2~3万人ほどで推移しています。

シニア向けスポーツ大会は世界中で開催されている
シニアが参加できるスポーツ大会は、世界中で開催されています。2017年にはベルギーのブリュッセルで「シニアのためのオリンピック」という大会が開催されました。地元の高齢者の75歳~96歳までの約130人が集まり、競技を楽しんだそうです。
また、日本でも「ねんりんピック」の愛称で知られる「全国健康福祉祭」を毎年開催しています。
2021年は岐阜で開催される予定です。
この大会は、健康寿命の延伸や生涯スポーツの普及、地域コミュニティの形成などを目的として、60歳以上のシニア世代を対象にしています。
この大会は、全国の各都道府県・政令指定都市で開催される地区大会を勝ち抜いた代表選手によって競技が行われます。まさにオリンピック・パラリンピックと似たような形式です。
このように、シニア世代を対象にしたスポーツ大会は各地に広がっているのです。
高齢者スポーツの2つのメリット
人との交流が増え、コミュニティが形成される
高齢者がスポーツを楽しむ機会は年々増加しています。
笹川スポーツ財団が公表した『スポーツライフに関する調査(2018年)』によると、筋力トレーニングやウォーキングなどの「エクササイズ系種目」の実施率は60代、70代で急増していることがわかっています。
2002年と2018年の実施率を比較するとその差がハッキリとわかります。60歳代で37.7%から52.3%、70歳以上は22.2%から54.2%と大幅に上昇しています。

高齢者にとってスポーツは身近な存在になっており、さまざまな健康効果を生み出していると考えられています。また、高齢者がスポーツをすることは孤立を防ぐことにもつながります。
運動やスポーツを介して、他者とかかわることで自然とコミュニティが形成され、地域での孤立を防ぐことにつながります。
例えば、スポーツ庁では総合型地域スポーツクラブの設置を推進しています。
地域行政と連携を深め、高齢者が気軽にスポーツを楽しめるイベントや機会の創出を図っています。
心身に良い影響を与える
高齢期は定年退職だったり、配偶者や友人との死別などによって心理的な喪失感を強く感じやすい時期です。こうしたストレスによって、うつ状態に陥るリスクが高まります。運動を継続することによって、こうした心理的な状態を好転させる可能性があるとされています。
また、スポーツを実践することが生活満足度を高めることもわかっています。日常的にスポーツに親しんでいる高齢者は、日常生活動作が高く、外出などの活動も増加します。
高齢者の「閉じこもり」は、介護が必要になったり、寝たきりなどのリスクが高まります。しかし、スポーツをすることで外出するためのやる気が向上するだけでなく、他者とのコミュニケーションの増加によって幸福感がアップするのです。
高齢者にも継続してスポーツできる場が必要
ゲートボールの競技人口は急減していることが判明
その一方、関西学院大学の『人間福祉学研究』に掲載された論文によると、高齢者のスポーツとして人気を博していた「ゲートボール」の競技人口は急減しているとされています。ピーク時に600万人以上いた競技人口は、約100万人に減少したと言われているのです。
その背景にあるのは、競技スポーツとして勝利至上主義や技術中心主義が広まったことにあるとも指摘されています。チームが勝つことばかりに執着してしまい、新規参入者を受け入れる間口が狭まってしまったのです。
コミュニティ形成は、高齢者スポーツの一つの目的でもありますが、コミュニティに流動性が失われてしまうことで、逆にストレスになる可能性もあります。
コロナ禍でもできるスポーツで運動と交流の場を確保
日本人高齢者のスポーツ実施率は向上していますが、国際的にみるとまだ割合は低いのが現状です。
厚生労働省の『令和2年度第9回高齢者の生活と意識に関する調査』によると、高齢者がスポーツに生きがいを感じる割合はアメリカ71.4%、ドイツ50.8%に対し、日本は45.3%。欧米諸国に比べると高齢者のスポーツに対する意識には差があるようです。

高齢者のスポーツをさらに普及させていくためには、多様化するニーズに対応する、気軽にスポーツができる環境づくりがポイントになります。また、現在はコロナ禍にあり、感染リスクの低いスポーツへと注目が集まっています。
中でも注目されているのは「グラウンド・ゴルフ」です。
専用の木製クラブでボールを打って、スタートからホールポストまでの打数の少なさを競うゲームで、初心者でもわかりやすいルールと気軽さが広く受け入れられています。
現在の競技人口は約300万人だと言われています。
大手スポーツメーカーもグッズ開発などにも乗り出しており、今後もニーズは高まっていくでしょう。こうしたスポーツの輪を広げていき、「誰でも」「気軽に」参加できるコミュニティを形成していくことが普及のポイントではないでしょうか。
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2020年9月7日 制定