近年、認知症高齢者が増加していることはニュースや新聞でも見かけたことがあると思います。
今後も高齢者が進むなかで、認知症高齢者は増加する試算が出ていますが、そんな状況の中、有酸素運動をすることで認知症予防になると話題になっています。
今回は有酸素運動のひとつである水泳についてお伝えしていきます。
日本の認知症高齢者事情と対策方法
高齢の認知症高齢者が増加中!

日本が超高齢社会となるに従い、認知症高齢者の数も増加傾向にあります。これに対して、厚生労働省は認知症の高齢者が住みやすい地域を作る「新オレンジプラン」を計画しました。
その新オレンジプランによると、認知症高齢者の数は2014年に約462万人。これが約40年後の2060年には1,154万人を超えると推計されており、40年間で3倍になると予想されています。
今後も認知症高齢者の数は右肩上がりに増え続けることが予想されており、日本の総人口が8,674万人の時、8人に1人が認知症という数にまで増加すると考えられているのです。
この背景には、平均寿命の増進と医療の発展があります。医学が進歩したことで、体の元気な高齢者が多くなっている一方で、脳の機能が衰える期間も必然的に伸び、結果的に認知症となってしまう高齢者が増えているのです。
有酸素運動で認知症予防
社会現象にもなりつつある認知症は誰にとっても無関係ではないため、予防を考えることは無駄とはなりません。その、いくつも紹介される予防方法の中で、今注目させる対策のひとつに有酸素運動があります。
有酸素運動にはそれほど負担が強くないものも多く存在し、体力の衰えた高齢者でも継続して続けていくことができます。
体を動かすエネルギー源として酸素を使い、持続的に運動を行っていくことで脳機能の向上につながります。
脳を若いまま保ち、酸素を含んだ血液を脳の血管へと運ぶことによってニューロンが脳で作られてシナプスが活性化され、脳の毛細血管も再生し記憶を司る海馬の役割がうまく働いて認知症予防になるのです。
その有酸素運動、代表的なものにはウォーキングやヨガ、エアロバイクがあり、ダイエットに効果があるだけではなく血流の改善を期待することができます。
有酸素運動のさまざま
高齢者にとってウォーキングは逆に危険?
認知症予防にもなる有酸素運動、具体的にどのようなことをすれば良いのでしょうか。有酸素運動の代表的な例としてウォーキングがありますが、実は高齢者にとって危険な場合があり、事故の元にもなりかねないのです。

東京消防庁のデータによると、高齢者が救急搬送される事故のうち、約8割が転倒事故によるもの。転倒により救急搬送される人の数は年齢が上がるとともに増加し、都内だけでも年間5万1,488人もの高齢者が運ばれています。
これは年々増えており、そのうちの4割は入院の必要があると医師に診断されているのです。
中でも道路や交通施設で転んだ高齢者は1万7,934人おり、買い物や散歩、ウォーキングの途中に転ぶ事故が発生していることがわかります。
慣れないウォーキングをした結果、転倒して寝たきりにつながるリスクがあり、過度な運動は逆に危険を伴うことがわかります。
高齢者の運動に水泳が良い理由
では、高齢者にとって効率的で安全な有酸素運動はないのでしょうか。
今回は水泳の可能性について紹介します。
水泳は腕で水をかいて足で水を蹴るため、手足で動きが異なり、なおかつリズミカルな動作が脳を活性化します。
骨格筋が動くので若返りホルモンのマイオカインが分泌され、脳をはじめ全身に効果が行き届くのです。
また水に浮いて手足の力を抜くためリラックス効果があり、胸の呼吸筋が強くなり呼吸も深くなります。泳ぐことで心肺機能も強くなり、免疫力がアップして風邪を引きづらく、体力も向上して病気にかかりにくい身体になるのです。
水泳であれば腰やひざにも負担がかからず、痛みがある場合でも回復に役立ちます。運動不足も解消でき、ストレスも発散できるので水泳は効果的といえるでしょう。
市のスポーツセンターやフィットネススポーツクラブでは高齢者用のスイミング教室をやっていますので、通ってみるのも一考ではないでしょうか。
高齢者の運動能力事情
高齢者の体力は昔と比べて上昇している!
こうした認知症予防に欠かすことのできない運動ですが、高齢者の体力は昔と比べて向上しているようです。前回の東京オリンピックが行われた1964年度からスポーツ庁が体力テストを実施しており、60歳以上の高齢者についても1998年度から調査しています。

それによると高齢者、特に65歳~69歳男性の体力が向上しており、18年前と比較して確実に運動テストのスコアが伸びているのです。
また、握力や開眼片足立ち、状態歩行といったテストを行ったところ、前年を上回るスコアが毎年出て、体力は右肩上がりに上がっていることもわかっています。
この調査では同時に、男女ともに小・中学校や高校では運動習慣が高いものの、大人になるにつけ運動習慣が4割前後に低下しているという結果も提出しています。
しかし、60歳頃になると再び運動を習慣化している人が増え、高齢者になると約8割近くが運動習慣を回復します。
これは仕事を引退して時間に余裕をもち、定期的な運動をするゆとりが生活面でできたことや、年を取るに従って健康意識が高まってきたためと考えられます。
高齢者が有酸素運動をする上での注意
見てきたとおり、高齢者が運動することは、健康を維持する面で非常に効果があります。しかしその反面、若年者よりも高齢者が事故を起こす可能性は大きく、自身の身体にあった運動方法を見つけることが大切です。
水泳や水中ウォーキングも転倒事故は起こりづらいですが、水の事故も一部報告されているため、やはり事故に気をつけて運動を行う必要があります。
高齢者が水泳をするときはサポーターをつけ、付き添う人がそばにいることも運動を行っていく上で重要な要素となるでしょう。
有酸素運動は認知症の予防に役立ち、脳と体を若々しく保つことができるという特徴があるなかで、今回は水泳について紹介しました。
温水プールなら寒い思いをすることはありませんし、フィットネスの利用料金が高ければ自治体が運営しているプールであれば格安、もしくは高齢者パスで無料にて利用できる施設もあります。
フィットネスジムのプールや市営のプールではインストラクターや監視員がいるため、指示に従いながら安全に運動できるためおすすめです。事故に気をつけながら、認知症予防のために水泳を始めることは定番の選択肢となる可能性もありそうです。
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2020年9月7日 制定