高齢者の水分摂取事情はどうなっている?
乳酸菌飲料とコーヒーは、どちらも継続して飲むことで高齢者のQOLを高めてくれることが研究で判明。
乳酸菌は広義のビフィズス菌も含むと、古来より発酵食品を作るために使われ、加工や調味、貯蔵などのために重要な役目を果たしてきました。
フランスのパスツール研究所で乳酸菌が調べられたのは20世紀のはじめごろ。
発酵食をよく食べる地域の人たちは寿命が長く健康に暮らしている傾向が見られました。
乳酸菌が腸内環境を良くして腐敗を遅らせ、結果として老化を遅らせる可能性があると考えられたのです。
一方のコーヒーは、緑茶が一日平均253ml飲まれるのに対して、213ml飲まれるという調査報告が。
嗜好品のため、飲む人はたくさん飲みますが、飲まない人はあまり飲みません。
カフェインには弱い利尿作用があるために、脱水の原因になると考えられがちでしたが、コーヒーは水の摂取と同様の水分補給効果があることがわかっています。

1日あたりの水分摂取量を考えてみると、特に高齢の女性が多くなる傾向にあります。
高齢者は、ポットなどを使って水分をよく取るというイメージのとおりでしょう。
男性は一日あたり平均1100ml程度、女性は一日あたり平均1200ml程度の水分を摂取。
東京と大阪の成人男女を調査した結果、もっとも飲まれているのは男女ともに緑茶でしたが、その次にはコーヒーが続きます。
コーヒーが好きな人は一日になんと500mlも飲むことがわかったのです。
嗜好品飲料が身体に及ぼす影響とは
ではカルピスとコーヒー、これら2種類の飲みものは体に良いのでしょうか?毎日続けても問題はないのか。カルピスやネスレの調査を元にして見ていきましょう。
まず乳酸菌ですが、希釈タイプの乳酸菌を毎日摂取することで、排便回数と排便量が増加したというリサーチがあります。
乳酸菌の希釈タイプを毎日飲んだグループと、水を飲んだグループとに分けて調査した結果、飲用期間が伸びると1週間あたりの排便回数が増え、排便量も増加しています。
これは腸内環境が良好になることによって、お通じが順調に来ていることが証明された結果ではないでしょうか。
リサーチを行っている間に排便時の残便感についてもアンケートを取った結果、2週間で排便時の残便感が薄れ、トイレに行った時のすっきり感が増しているという結果も。
また、糞便を回収して水分量を調べた結果、水を飲んだグループでは糞便中に含まれる水分の量には変化が見られなかった一方で、希釈された乳酸菌を飲んだグループは、一ヶ月飲んだことにより糞便中の水分量が約2.5%も増加することがわかりました。
これは、便秘による不快感を軽減させてくれるのと同時に、風邪予防などにもなるということです。
一方のコーヒーはどうでしょうか。

ネスレのコーヒー摂取者における介入研究は、コーヒー摂取でも水分摂取でも、体水分量には変化を及ぼさないという結果に。
純粋に水分補給として考えた場合に、あまり水分補給としての役割は果たしていないと考えられますが、飲まないよりも飲んだほうが良い理由は多く挙げられます。
とりわけアンチエイジング効果やリラックス効果、脳の活性化、自律神経バランスなどが高齢化社会に生きる我々には見逃せません。
乳酸菌飲料とコーヒー、どちらも飲むことでメリットが
コーヒーを全く飲まない人と比較してみると、1日3杯ぐらい飲む場合はうつ病や糖尿病、がんなどになる確率が低いという調査報告も。
アセトアルデヒドを排出し、二日酔いになりにくいという効果なども注目が集まっています。
ですが、飲み過ぎには注意したほうが良いかもしれません。
1日3杯程度が上限で、健康効果などはコーヒー3杯で十分発揮されるという報告もあります。
飲めば飲むだけ、その分の健康効果は保障されると必ずしも考えられないのがコーヒー。
過剰なコーヒー摂取は慢性的な脱水症状になってしまうことや、濃いコーヒーをお腹が空いたときに飲むと胃腸が荒れる、タンニンによって鉄分の吸収が阻害され、貧血となりやすいなどの弊害も考えられます。
カフェインの覚醒効果によって寝付きが悪くなり、眠りそのものもが浅くなるなど健康的に重要な側面である睡眠的副作用・デメリットが生じてしまう可能性も無視できません。
コーヒーを飲むのは1日3杯程度に抑え、あとはミネラルウォーターなどで水分補給するが良いでしょう。

乳酸菌も、カルピスの調査によって体に良いことがわかっています。
調査開始時と、毎日飲んで8週間が経過したあととの比較で、全体的健康感、身体機能、日常役割機能(身体)、体の痛みを軽減、活力、社会生活機能、心の健康、日常役割機能(精神)の全尺度において、飲む前に比べて大きなプラス効果がありました。
つまり、QOLの向上に大きく役立っていることがわかったのです。
特に、精神面の総合指標である「精神的サマリースコア」が大幅にアップ。
乳酸菌が精神面にも良い影響を与え、QOLを向上させてくれることをこれは意味しています。
継続して飲むことで、主観的な健康感が上昇するという点も重要です。
また、飲むことをきっかけとして住民が集まる空間を作り、そこにみなで集まることで高齢者の孤独な思いを解消していくというアプローチも考えられるでしょう。
飲料と生活の質、それからIoTへ
QOLに関しては今後も調査が続けられる見通しです。
乳酸菌飲料を希釈調整するなど毎日のルーティーンワークを生活の中に持つことで、精神面でのQOLが高まり、幸せを感じる感情につながっていくこともわかりました。
ミネラルウォーターなどと適宜組み合わせることによって高齢者の内面の幸福につながるのであれば、乳酸菌飲料とコーヒー、どちらもぜひ積極的に飲んでいただきたい飲料です。
また、IoT(Internet of Things)の進展で、飲料を通じた遠隔地からの高齢者見守りが現実味を帯びてきている点は注目に値するでしょう。
ポットに見守り機能をつけることによって、離れて住む家族へ安否を知らせることができます。
1日1回以上ポットが使われていなければ、何かあったかとアラートが飛ぶ仕組みとなっているわけです。
こうした取り組みも考えられるので、遠方に住む家族とのコミュニケーションと同時に、高齢者には水分補給を積極的に行って頂くように促すのが得策でしょう。
飲料を冷蔵庫に入れるのであれば、冷蔵庫自体ににIoT機能を搭載しても良いかもしれません。
新しいビジネスとしても十分に考えられる話です。
もちろん商業的な話につなげなくとも、高齢者の主観的な健康面が上向き、精神的なQOLが向上するという事実そのものが非常に素晴らしいことです。
高齢になってくると緑茶などを飲む機会が増えてきますが、日々の飲料の選択肢に乳酸菌飲料やコーヒーなどの嗜好品も適度に加えていくのが良さそうです。
高齢者の好む飲み物はQOLの向上に貢献するのと同時に、それは幸福感にもつながっていくのです。
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2020年9月7日 制定