2012年と比べて50万人も増加した糖尿病予備群
皆さんは、日本人の体重が男女共に増加傾向にあることをご存知でしょうか。
特に男性は、1950年から2010年までの体重増加率が25.9%という状況です。
体重の増加によって起こる悪影響のひとつとして「糖尿病」がありますが、厚生労働省は成人で糖尿病リスクのある日本人が1,000万人を突破したと発表しています。
増加の一途をたどる糖尿病患者…

世界的に見て、日本人はスリムな人が多い傾向にあります。
しかし、昔と比べて体重の増加率は確実に増えており、それに従って糖尿病のリスクを抱える人も増えました。
前回の調査を行なった2012年と比べて、約50万人も糖尿病疑惑の患者が増加しており、その数は約1,000万人となっています。
この数は成人限定ですが、多くの日本人が血糖値が一定のラインを超え、調査を始めた1997年から右肩上がりに増加しています。
軽度の糖尿病予備群は減少傾向に
特に、昨今は長寿傾向が強まったこともあり、糖尿病になるリスクはさらに高まっています。一方で、糖尿病の可能性を「否定できない」とされる人は、2007年ごろには1,320万人ほどいたものの、現在は1,000万人程度まで減っています。
この低下は、保健指導などが行き渡り、健康意欲が高まったことが背景にあると考えられます。
日本の20歳以上の成人の数は、約1億人。
そのうち1,000万人が糖尿病予備軍ということは、約10%が糖尿病になるリスクがあるということなのです。
実際の患者数は約316万人程度であり、残りの685万人が糖尿病になる可能性が著しく高いとされています。
糖尿病が増加した背景とは
1日に吸うタバコの本数が多ければ多いほど、糖尿病にかかりやすいことが各種の調査から判明しています。したがって、禁煙してタバコをやめることで糖尿病リスクを低下させることができるので、健康のためにも禁煙は選択肢に入れても良いでしょう。
ただし、禁煙すると口寂しくなることで間食が増え、血糖値が上がってしまう可能性が懸念されます。しかし、禁煙による健康増進効果は侮れず、タバコを吸わないことによるメリットはデメリットをおおきく上回るでしょう。

非喫煙者の糖尿病発症リスクを1とした場合、喫煙者は1.44倍もの発症リスクがあります。さらに、1日に20本以上喫煙すると、発症リスクは1.61倍にもなるのです。
昔に比べ、現代人は運動を行わなくなりました。自動車の普及やエレベーターやエスカレーターなどの整備で、生活のシーンにおいて動き回るという機会が少なくなっているのです。
階段を使わずとも、あまり動かなくて良いようなインフラが整っているのが現代。それらは体が動きにくくなった高齢者にとっては助かるのですが、現役世代にとっては意識しなければ運動不足に陥ることを意味しています。
日本人の体質は糖尿病になりやすい!?
日々の仕事における業務は大きく効率化されましたが、昔は書架までいって重量感のある帳簿を調べていたことを考えると、運動量は大きく減っています。
これらの要素が積み重なることで、現代人の運動不足には拍車がかかっているのですが、「日本人の体質そのもの」が欧米人と比較して糖尿病になりやすいという報告もあるようです。
糖尿病になる原因のひとつは、すい臓から分泌されるインスリンの数が減ることにあります。
日本人を含むアジア人は、このインスリンを欧米人の半分程度しか分泌できないという統計があるのです。
また、食生活が欧米化していることも、日本人が他人種より糖尿病になりやすいことの一因と言えるでしょう。
高齢者が糖尿病予備軍を牽引している?

再び、厚生労働省の国民健康栄養調査を見てみましょう。糖尿病の疑いがある20歳以上の成人を10歳ごとに区切った割合は、70歳以上の男性で23.2%、女性で16.8%ともっとも多くなっています。
これは、70歳以上の総人数が多いことも関係していますが、高齢者になればなるほど、糖尿病になるリスクが高まるということです。
しかも、この比率は調査を始めた1997年から右肩上がりにどんどん上昇しています。
つまり、高齢者の数が増えるとともに、高齢者の糖尿病の数も増えているのです。
なぜ高齢者に糖尿病が多いのかというと、それにはとりもなおさず「加齢」が影響していると考えられています。
高齢期にさしかかると生活習慣としても運動量が自然と減るのは想像がつくと思いますが、体内では基礎代謝と呼ばれる自然なエネルギー燃焼量が減ってしまうのです。
豊かになったが故に増加した糖尿病
また、高齢者になるほど筋肉が減ります。その反面、内臓脂肪の量が増えるので、その結果として体内の変化によりインスリンの働きが悪化します。
そのため、インスリンがうまく働かずに血糖値が上昇。
すい臓も加齢の影響でインスリン分泌がままならず、全体的にインスリンの働きが悪くなるという悪循環から、糖尿病にいたるものだと考えられています。
また、長年に渡る喫煙および暴飲暴食などの生活習慣も蓄積し、体を老いさせてしまうことも明らかになっています。
戦争の後、日本が復興して豊かになっていく過程で、糖尿病などを始めとする生活習慣病患者が増え始めたことはデータで見てきた通り。高齢者になると、それまでの生活習慣と肉体的な老いが重なって糖尿病になりやすいという事実には気をつけていく必要があります。
具体的な方策は、やはり運動を日常生活に取り入れることです。
生活習慣としての運動を心がけると、糖尿病予防だけでなく、健康増進やストレス解消、ダイエット等につながります。
適切な運動を取り入れるとで、規則正しい生活へと自分自身を律していくことが大切です。
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2020年9月7日 制定