
介護職にまつわる”あるある”や現場であった出来事を発信する現役介護士。1万6千人がフォローするTwitterアカウント(@nobu_fukushi)は、介護職であれば参考にしたい情報がたくさん。
父の大怪我をきっかけに介護職を志す
まずは、のぶさんのご経歴を簡単に伺ってもよろしいでしょうか?


はい。私は、福祉系の大学を卒業して特別養護老人ホームに就職しました。そこから13年働いています。
13年!ベテランさんですね。介護の仕事に就きたいと思ったきっかけはあったのですか?


初めて考え出したのは、高校生の時ですかね。実は高校生のときにちょっとグレてたんです(笑)
でも、そのときに漠然と「あ、人の役に立つ仕事とかもしてみたいな」って思ったんです。そのときは、本当、漠然となんですけど。
それで介護の仕事を志すようになったのですか?


その後、大学生のときに父が仕事中に大怪我をしたんです。怪我の影響で、急に首から下が動かなくなって…介護が必要な状態になってしまったんです。

それをきっかけに本気で介護の勉強をするようになりました。
本気で勉強をして、そこから特養に就職したんですね。特養を就職先に選んだきっかけはなにかあったのでしょうか?


当時は特養に絞っていたわけではありませんでした。
就職先の法人理念に共感して就職したら、その配属先がたまたま特養だったって感じですね。

でも、特養で働いたからこそ、いろいろな利用者さんの最期まで関わることができました。
利用者さんの最期を一緒に過ごせる喜びを知れたのも含め、今は特養でよかったと思いますね。
特養の仕事って大変なイメージがありますが、介護職員として当初苦労したことはありましたか?


たくさんありましたね。新人の頃は、便失禁した方のパッド交換が難しくて、めちゃくちゃ時間がかかってしまっていました。

利用者さんに「寒い思いさせてすみません」って謝ったら「あんた、丁寧だからいいよ。丁寧すぎて他の人より時間がかかってるんよ」と言ってくれて…。
そのときは泣きそうになりました。スピードも大切なことだけど、丁寧な介助は必ず相手に伝わるということをそのときに学びました。
新人のときって思い通りにいかなくて焦ることがありますよね。今タイムスリップできたら、新人のときの自分にどんなアドバイスをしますか?


利用者さんは職員にとっての『困った人』なのか、そうでなく不安な気持ちでいっぱいの手を差し伸べるべき『困っている人』なのかを自分自身に問うということを常に忘れないで欲しいですね。
…どういうことでしょうか?


要するに介護の視点は、私達スタッフの主観ではなく、常に利用者さんの感情を想像してあげるべきだと思うんですよ。

例えば、何度も立ち上がって歩く利用者さんを『困った人』と捉えるより、不安な気持ちでいっぱいの『困っている人』と捉えてみる。
そうすると介護する側の感情優先ではなく、「本人がいちばん困ってるんだよな」って気持ちの整理ができます。

当たり前のことですが、一番目を向けるべきはご本人の大変さで職員の感情を優先すべきではないんですよね。
確かに毎日関わっていると利用者さん主体の介護という感覚を忘れてしまうかもしれないです。
新人時代からいろいろな経験を経てきたと思うのですが、なかでも大切にしている介護観はありますか?


昔、勤務先の施設長が言っていた「ケアをする人の想いや行動によってケアされる人の人生が変わる」という言葉が好きで、その考え方を大切にしています。

介護の仕事って、ひとつひとつの関わりやケアが利用者さんの"人生"に直結しているんですよね!目の前の人の"人生"に関わる仕事だと思っています。

一度きりの人生に関われる喜びを持ち、ひとつひとつのケアや関わりを丁寧にして、利用者さんもご家族もみんなを幸せにできる介護職でありたいなと思いますね。
介護職は楽しい瞬間がたくさん!
のぶさんがそれほどに介護の仕事にのめり込めたのは、なぜでしょうか?


たぶん介護の仕事に自分自身が魅力を感じているからだと思います。
具体的にはどんな部分に魅力を感じていますか?


介護職の魅力はなんと言っても「高齢者と楽しい時間を共有できる」ことだと思いますね。

介護の仕事は大変な面ばかりをクローズアップされがちですが、実際には楽しい瞬間もめちゃくちゃ多いです。
楽しい瞬間というのは例えばどんなときですか?


春には桜を見にドライブへ行ったり、ときには出前をとってラーメン等を一緒にいただく機会があったりとか。

なかには、その普通のラーメン1杯でも「おいしい」と嬉し涙を流しながら食べる方もいて(笑)そんな空間なら、そこにいるだけで幸せな気分になれますよね。
あとは、お茶がこぼれただけで利用者さんとバカ笑いする何気ない瞬間も大好きです!
なんだかほっこりします。利用者さんからのいろいろな言葉も嬉しいですね。


そう。あとは、利用者さんの言葉ってすごく重みがあって…。

例えば、これまで辛い経験の連続で幸せとは言えない人生を送ってきたある利用者さんが「人生いろいろあったけど、最期は幸せだった。ありがとうね。」って言ってくれたんです。
人生の99%が不幸だったとしても、最期の1%で人を幸せにできる仕事なんだなって改めて思いましたね。
職場の雰囲気改善は小さな行動から
特養での仕事を楽しめていることも、のぶさんが仕事を続けてきた大きな理由の一つなんですね。
よく介護職は人間関係に悩まされるという声を聞きますが、長年働いているのぶさんは、どのように考えていますか?


確かに人間関係は大事ですよね。働きやすさを左右する大きな要因だと思います。
どんな雰囲気だと人間関係が良い職場だと思いますか?


そうですね…例えば、「腰やりました…」と腰を痛めてしまったスタッフがいたとするじゃないですか。

で、ペンギンみたいな歩き方で申し訳なさそうに早退しようとしたら、職員みんなで「車いす準備しようか?w」とか、冗談も言いつつ、「現場のことは気にしなくていいからゆっくり休みな」って次々に優しく声をかけてくれるような雰囲気っていいですよね。
確かに!ギスギスしてたら、そうはいきませんもんね。
そんな環境になるように、のぶさんが工夫してることがあれば教えてください。


『良いと思ったケアや対応は口に出す』ことが大切だと思いますね。

例えば、良い声掛けをしているスタッフがいたら、「今の言葉がけステキ。○○さん嬉しそうだったよ」とか、爪切りを率先してやってくれるスタッフがいたら「お!また爪切りしてる!流石だわ〜」と声をかけるようにするとか。
のぶさんは職場でのムードメーカーでもあるんですね!


やっぱり人間って褒められると嬉しいじゃないですか(笑)。
実際自分がそれを続けたことで、職場全体の雰囲気がよくなって、人間関係も良好になってきている実感はありますね。
ちょっとした意識でも雰囲気を変えられるのは、どんな職場でも共通しているかもしれませんね。
オフの時間の充実も、仕事のモチベーションになっていたりするのでしょうか?


それも大きいと思います。6歳、3歳、6ヵ月の子どもがいるんですけど、家族が心の支えになっていますね。。
可愛い時期ですね!それは確かに癒されます!


そうなんですよ!だから子供達の顔を見ると仕事の嫌なことも吹っ飛びますね。

心の支えは本当、家族です。つらいときや悩んだ時は仕事のことは忘れて、3人の子供と妻と一緒に楽しいイベントを企画しますね。
イベントって考えてるだけでワクワクするでしょ?(笑)
確かに!家族の時間を過ごすために仕事の取り組み方で工夫していることはありますか?


定時退勤は徹底してます!

現在は日勤(8:30〜17:30)が主な勤務時間で、早番(7:30〜16:30)や遅番(10:00〜19:00)もありますが定時退勤はマストです!。
ご利用者さんの急変等でやむを得ないことはもちろんありますが、それ以外は100%定時で帰ります。
定時退勤ってやりたくてもできない人もいると思うので、是非なにかアドバイスいただけたら嬉しいです。


定時退勤をしたいときに大事なのは、必ずその日にやらなければいけないことと、次の日でも問題がないことの見極めだと思います。

たぶん定時退勤に慣れていない人って、なんとなく残っちゃう人も多いと思うんですよね。
だから毎回見極める癖をつけるようにしてみてください!
最後に、これから介護の仕事を目指す読者のみなさんへのメッセージをお願いします!


介護の現場はつらいイメージを持たれがちですが、見方を変えれば楽しい場面も多くあります。 お年寄りからタメになるお話を聞けることも多いし、大変なだけでなくメリットもいっぱいです。
あと、これからパパママになる人は特におすすめですよ。赤ちゃんのオムツ交換が先に覚えられるので(笑)!

利用者さんとじっくり時間をかけて関わりたい方は、特養も検討してみてください。体力的にはシンドイこともありますが、終の棲家と言われるように、最期の瞬間まで向き合えますよ。

私自身は、他にこんな素敵な職業はないと思ってます。 みなさん、一緒に介護業界を盛り上げていきましょー!
ありがとうございました。これからも頑張ってください!


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