今回の取材先は、伸こう福祉会が運営する特別養護老人ホーム「クロスハート幸・川崎」(所在地:神奈川県川崎市)。介護士2年目の鈴木翔太さんは、医療機器の営業職という経歴をお持ちです。コロナ禍で医療現場が変容したことをきっかけに、介護職へと転身しました。異業種の経験が福祉施設に広い視野をもたらすと語る鈴木さん。ケア業務だけでなく、施設運営を支えるひとりとして大活躍しています。

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Profile 介護士 鈴木 翔太さん

飲食店勤務や医療業界での営業職を経て、2020年11月社会福祉法人伸こう福祉会へ入社。現在は介護士としてケア業務を行うほか、スタッフのスキルアップ・意識改革に向けて奮闘中。筋トレが日課のスポーツマン。

経歴
2013年〜2016年 飲食店で接客業に従事
2016年〜2020年 医療機器販売の営業職として活躍
2020年11月 社会福祉法人伸こう福祉会へ入社
長所 マイペース
短所 マイペース
趣味 旅行・筋トレ
特技 バレーボール

コロナの影響で営業マンを退職

介護士の仕事に就く以前のご経歴を教えてください。

飲食店での接客業と、医療業界での営業職を経験しました。

大学では簿記や会計などを勉強をしていたんですが、レストランでのアルバイトがすごく楽しかったんです。そこで、接客のプロを目指して食の道へと進んだものの、やはり長時間拘束など労働環境が厳しく、体力的な限界を感じて退職することに。

次はまったく違う世界にチャレンジしてみようと思い、医療機器を販売する会社の営業職として勤務しました。この2社を経た2020年、介護士として現在の伸こう福祉会へ転職してきました。

       
  Before After
雇用形態 正社員 正社員
業種 医療機器販売 特別養護老人ホーム
職種 営業 介護士
勤務時間 9:00〜18:00
(残業あり)
7:00〜16:00、9:00〜18:00
18:00〜翌8:00
休日 土日祝 月8日のシフト制
仕事内容 医療機器の営業 身体介助・自立支援

営業マン時代のお話を詳しくお願いします。

扱うのが人の命に直結する医療機器ですから「売って終わり」の営業ではなかったんです。実際の診察に立ち会ったり患者さんのデータを見ながら、この症例にはどの機器がマッチするかなどを医師と一緒に考え、新しい使い方を提案する機会も多くありました。誰かの役に立てる実感と大きなやりがいを持って働ける仕事でしたね。

その分、ある程度の医療知識をインプットせねばならず、勉強量は多かったです。また、機器に不具合が生じると、時間・曜日関係なく病院から緊急コールが入って呼び出されるんですよ。だから休みの日もなかなか遠出できなかったし、毎日が仕事に縛られているような感覚がありました。

退職した理由は、プライベートの時間が持てなかったことが大きいですか?

それもありますが、一番の理由はコロナです。感染拡大で経営状況が悪くなる病院が増え、営業活動が難しくなってしまいました。さらに海外のサプライチェーンが滞ったことで、製品供給の見通しが立たないのも大きな打撃でした。

そもそも飲食から転職する時に、医療関係の業界なら食うに困らないだろうという思惑があったので、少々アテが外れてしまったなと(苦笑)。コロナ収束後に状況が回復するにせよ、それが一体何年後のことか分かりません。そこで、異業種である介護の世界へ思い切って挑戦することを決めました。

取材写真01

マイナスイメージがあった介護の仕事は意外にも…?

せっかく医療の知識も身に付けたのに、もったいない気もしますね。

転職先に介護業界を選んだ理由が2つあって、まず1つ目は、それまで積み重ねた医療の知識が活かせるのではないかと考えたことです。残念ながらあまり役立つ場面はないのが現実でしたけど(笑)。それでも、入居者様の健康状態について医療スタッフから説明を受ける際、まるで意味が分からず困ったことは今までにないため、多少なりとも関連付けられているかもしれませんね。

もう1つの理由は何ですか?

僕は地元が東北で、将来的にUターンすることも考えています。介護の仕事なら日本全国どこにでも働き口があるという点が大きな魅力でした。

では、就職先に伸こう福祉会を選んだのはなぜでしょうか?

介護経験ゼロでの入社だったため、働きながら初任者・実務者研修を受ける必要がありました。その点、伸こう福祉会では出勤扱いで講義に参加することが認められており、配属先の施設が研修会場という好条件だったんです。有給休暇を使って受講しなければいけない会社もあるようなので、この制度は入社の大きな決め手になりました。

モチベーショングラフ

なるほど。それは魅力的ですね。

介護の世界のメリットは、いろいろな資格を取ることがキャリアアップへ直結していることではないでしょうか。正直、今の職場に転職してきて以前よりもお給料は下がりました。でも、自分の努力次第で組織から評価してもらえるという明確さがあるので、長期的な視野を持って頑張ってみようと思えます。そういった面で、資格取得に向けた会社のフォロー体制が整っているのはありがたいです。

現在の勤務スタイルについて教えてください。

勤務形態は早番・遅番・夜勤とシフトが分かれていて、休みは週2日です。通常の有給に加えて、年に7日間取得できる特別休暇が付与されます。もう少しコロナが落ち着けば、休暇を使って屋久島旅行に行こうと計画しているんですよ。

スケジュール

介護業界の働き方について、率直にどう感じられましたか?

「介護職はしんどい・きつい」というマイナスイメージを持つ人って多いじゃないですか?僕も同じように思っていて、ある程度覚悟もしていたんですが、実際に現場に入ってみるとちょっと拍子抜けしました。人員が十分に配置されているため、特定の人間に過重な業務の負担がかかることはないし、残業もほとんどありません。むしろ、営業マン時代の方が精神的にも体力的にもキツかったなと感じます。

夜勤には月4〜5日入っていますが、もっと入ってもいいくらいに思っています。入居者様の体調急変など緊急事態がない限り、夜勤の方がマイペースに仕事ができるため気に入っています。夜間手当も付きますしね(笑)。

異業種での経験を武器に、改革へのアクション

介護未経験でのご入社だったとのお話でしたが、業務に戸惑いを感じることはありましたか?

これといって思い当たる戸惑いはありません。仕事で病院には出入りしていましたから、排泄介助なども抵抗はありませんでした。せん妄症状の入居者様や認知症で暴れてしまう場面にはじめて遭遇した時は多少の驚きは感じましたが、すぐに慣れることができました。今では、そういったトラブルがあると率先して対応に当たるようにしています。

トラブルに気が付いてさっと手を差し伸べてくれる姿勢は、周りのスタッフにとってもありがたいことでしょうね。

介護士はひとりだけで完結する職業ではないので、チームプレーやお互いへの気遣いは日頃から特に意識していることです。また、女性が多い職場ということもあり、僕の存在がクッションの役割を果たせると良いなとも思っています。接客や営業経験で培ったコミュニケーション力を発揮して、円滑な施設運営に貢献していきたいですね。

取材写真02

ほかにも、これまでのご経験を活かせている場面はありますか?

今はOJT導入のお手伝いをさせてもらっています。ビジネスシーンでは当たり前の感覚も、施設という狭い世界だとまだまだ浸透していないなと感じる部分があるんですよね。例えば、周りにスタッフが大勢いるがゆえに、一人ひとりの責任感が希薄になりがちだという点。けれど、利用者様の命を預かっている以上「私がしなくても誰かがやってくれる」という少しの甘えが、簡単に大事故につながります。

そこで、入社して覚えた違和感を上司に話してみたところ、施設内で人材育成委員会が立ち上げられることになりました。僕もメンバーの一人として活動しています。スタッフの意識改革を図り、さらに信頼される施設をつくることを目指しています。

入社2年目で素晴らしい活躍ですね!

うーん、周りに煙たがられていなければ良いんですけどね(苦笑)。

ただ、僕は介護の世界では新米ですが、社会人としてはそれなりの経験値を積んできたことが自分の強みだと思っています。同時に、これまでの経験をシェアしたり、新たな視点を提供することこそが、異業種からの転職者に会社が求めることじゃないかなと。経験が浅いからと遠慮することなく、周囲のスタッフとどんどん意見を交わしていくつもりです。

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人材育成の場面では、先輩へ教育するケースもあるかと思います。相手へうまく伝えるためのアドバイスはありますか?

キャリアを長く積んでいる方は、その人なりの作業の進め方やスキルへの自信をお持ちだと思います。そこはしっかり配慮することが大切ですよね。相手を否定するのではなく、お互いの価値観をすり合わせていくような道筋で進めるといいかもしれません。

利用者様とのコミュニケーションで意識されていることは?

「丁寧な声がけ」です。当施設には、介護依存度が高く、会話が難しい方も多くいらっしゃいます。安心してケアを受けていただくためには「今から○○をしますね」「これは○○ですよ」というふうに、その都度介護士が口に出して介助内容を伝えることが重要だと思います。

一方、比較的お元気な入居者様に対しては、相手の意思を最大限尊重したケアを行うことを心がけています。機械のような流れ作業ではなく、入居者様のしてほしいこと・嫌なこと、どういった介助方法が心地よいかなど、対話を通して一番最適な方法を探していくイメージです。

目の前で向き合う人を大切にされているのが感じられます。

自分と関わる人みんなのことを大事にしたいと思っています。毎日出勤したら、まずは担当フロアの全員と顔を合わせて挨拶するのをマイルールにしています。入居者様は約90名いらっしゃいますから、お部屋を回って一人ひとりに声をかけるだけでも結構大変な作業。それでも、入居者様のお世話を任される身としては、顔色など急変の前兆はないかなど自分自身の目で確かめておきたいです。

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鈴木さんが介護士の仕事にやりがいを感じるのはどんな時でしょうか?

利用者様の課題解決に向けて試行錯誤を重ねる時です。

例えば「食事がなかなか進まない利用者様」が目の前にいます。食事という行為自体が疲れるからなのか、それとも目の前の料理を食べ物として認識していないのか。その人が食べない理由によって、対処法は異なりますよね。

食事が疲れるのが理由なら、口に運びやすい食器を使ってみる。認知の問題であれば、料理の彩りを変えて食欲をそそってみる。「なぜ、その問題が起きているのか」という根本的な原因を探して、こちらの出した答えがピタッとハマった時の達成感や喜びは、介護士という仕事が持つ大きな魅力だと感じています。

やりたいこと・興味があること、何だってチャレンジしなきゃ損!

これからの目標を教えてください。

実務経験3年という条件をクリアする来年、介護福祉士の資格取得へ挑戦すること。その後は社会福祉士の資格にも興味があります。

社会福祉士資格を取得すれば、より活躍の場が広がりそうです。

高齢者支援に限らず、児童や障がいなど、ほかの福祉分野の知見も広げることが目標です。友達夫婦に障がいのある子どもが生まれたことがきっかけで、身近な人たちの福祉の相談に乗ったりアドバイスができる存在になりたいと考えるようになりました。

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プライベートでは何かやってみたいことなどはありますか?

休みの日はYouTubeで介護職の方の動画をよく観ています。もう少しキャリアを積んだら、いずれは自分も何らかの形で介護の情報を発信してみたいなと。

それは面白そうです!

せっかくですから、いろんなことにチャレンジしてみたいですよね。仕事も、ずっと現場にいたいというこだわりはなくて、広報だったり人事だったり、さまざまな側面から介護の仕事を支える人材として成長していきたいです。

期待しています。では最後に、介護職への異業種転職を目指す方へメッセージを。

寝たきりの方も認知症の方も、入居者様はみんな人生の先輩。介護士は「お世話してあげる」という意識ではなく、人間対人間として対等に、そして相手への尊敬を忘れずにいたいものです。

そんな関係のもと、介護の現場でいただく損得勘定なしの純粋な「ありがとう」という言葉は、いつも僕に新鮮な喜びと感動を与えてくれます。ある入居者様からいただいた「私は鈴木くんのケアのやり方がとても好きだよ」というひと言は今でも忘れられません。

異業種を経験してきたみなさんだからこそ、より一層この感謝の気持ちの重みを感じ取れるのではないでしょうか。介護の仕事、ぜひ挑戦してみてください。

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撮影:丸山剛史

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