生活支援コーディネーター(SC)とは?仕事内容や給与、なるための方法を解説

更新

アイキャッチ

現在、国は「高齢者が要介護状態にならず、自分らしく元気で生活できるように地域社会で支えていく」方針を打ち出しています。その生活支援と介護予防の担い手として期待されている専門家が、「生活支援コーディネーター」です。

この記事では、生活支援コーディネーターという専門職が誕生した背景とその役割、生活支援員との違い、具体的な仕事内容、給料・年収、就職や転職活動の方法などについて詳しく解説します。

地域に住む高齢者の役に立ちたい、地域福祉に貢献したいと考えている方はぜひ最後までお読みください。

生活支援コーディネーター(SC)とは日常生活上の支援や身体機能・生活能力の向上に向けた支援や創作・生産活動をサポートする職種

生活支援コーディネーターとは、「地域支え合い推進員」とも呼ばれ、各地域内で高齢者の生活支援サービスおよび介護予防サービスを提供している専門職です。

高齢者を支え、地域で元気に生活できるように、生活支援コーディネーターは地域内にある住民組織や関係団体との調整役を果たします。

以下では、生活支援コーディネーターが誕生した背景と役割、活動事例、さらに生活支援員との違いについてご紹介しましょう。

生活支援コーディネーター誕生の背景

2025年は、1947~1949年に生まれたいわゆる「団塊の世代」が75歳以上になる年です。団塊の世代は、人口が極端に多いコーホート(特定の時期に生まれた人の集団)として知られています。

2025年にかけて介護を必要とする高齢者が急増することで、介護費や医療費などの国が負担する社会保障費が急速に膨れ上がることが予想されています。

厚生労働省がこの「2025年問題」に対応するために導入を進めたのが、医療、介護、住まい、予防、生活支援などを地域に住む高齢者に対して一体的に提供する「地域包括ケアシステム」と、「生活支援コーディネーター」という専門職です。

同省は生活支援コーディネーターを「地域内において高齢者への生活支援と介護予防サービスを提供する体制の構築に向けた、調整機能を果たす存在」として位置づけています。

生活支援体制整備事業とは

生活支援体制整備事業とは、2015年4月の介護保険制度改正において地域支援事業に導入された新事業です。

この事業では、市区町村が中心となって生活支援サービスを提供する事業主同士が連携し、高齢者に対する「生活支援体制の充実・強化」と「社会参加の促進」を一体的に測ることを目指しています。そのために、「生活支援コーディネーター」という調整役かつ専門職の導入と協議体の設置が定められたのです。

各自治体では、生活支援コーディネーターと協議体の設置が現在進められています。

第1層・第2層・第3層の違い

第1層・第2層・第3層の違い

生活コーディネーターの活動のあり方は、大きく3つの層に分かれています。

「第1層」では、市町村全域におけるサービス開発を行い、住民がサービスを提供する支援組織(ボランティアなど)への活動支援や、行政からの情報提供および意見交換の促進などを実施します。

「第2層」では、地域包括支援センターなどと協力して情報を活用し、小地域ごとのニーズや活動団体、社会資源を把握するといった活動が中心です。ここでいう小地域とは「日常生活区域」のことで、一般的に中学校区域として位置づけられます。生活コーディネーターは、ニーズや社会資源などを把握したうえで、地域への情報提供および利用者へのサービスの結びつけをサポート。さらにサービスを提供する主体や地域内の各種団体、さらに介護サービス事業所間の連携を行います。

さらに「第3層」では、支援を必要とする人のアセスメントや生活支援計画作成のサポート、サービスの担い手への研修などの支援、さらにサービスを提供する際の関係諸機関とのコーディネート業務を行います。

生活支援コーディネーターの役割

生活支援コーディネーターの役割は、高齢者への生活支援と介護予防の基盤整備を進めていくことを目的に、各地域において体制構築に向けた調整機能を果たすことにあります。

具体的には、以下のような活動が挙げられます。

  1. 高齢者が日常生活で感じている困りごとなど、生活支援のニーズを把握すること
  2. 高齢者を支援する人の発掘および育
  3. 生活支援サービスを設立し、高齢者の居場所づくりのサポート
  4. 地域内にある関係諸団体との連携

地域包括ケアシステムと生活支援コーディネーター

地域包括ケアシステムとは

医療・介護・住まい・予防・生活支援という5つの構成要素からなるサービスを一体的に提供するための仕組みづくりのため、厚生労働省がその柱として導入を決めたのが「生活支援コーディネーター」と「地域包括ケアシステム」です。

地域包括ケアシステムとは、保険者である市町村あるいは都道府県が、各地域の自主性あるいは主体性に基づき、地域の特性に応じた形で上記5つの構成要素を一体的に提供する仕組みのことです。

地域包括ケアシステムを説明するうえで、よく例えられるのが鉢植えの絵です。鉢植えの絵において、「本人の選択と本人および家族の心構え」が一番下に敷く基礎となる皿、「すまいとすまい方」は皿の上に置く鉢。そして「生活予防・生活支援」が鉢に入れる土であり、その土から生えている植物の葉には、「医療・看護」「介護・リハビリテーション」「保険・福祉」が該当します。

「地域ケア会議」と「協議体」の関係性

地域に住む高齢者の生活支援と介護予防を実現していくには、地域内に不足している地域資源を特定することが不可欠です。

地域ケア会議では、自立支援を実現するうえで欠かせない地域資源を、介護保険サービスに限定せず、広い視点で発見・開発するための話し合いを行います。

協議体は、地域づくりを進めるためのエンジンともいえる存在です。「不足する社会資源を探すこと」「現状ある社会資源を育成すること」「新たに創出すること」などの役割を果たします。

ただし、協議体がどのように形成されるかは、各地域における既存の活動のあり方や、その経緯によって変わってきます。

生活支援コーディネーターが果たす機能の一つが、この地域ケア個別会議と協議体の間に入ることです。それにより「地域内に社会資源として存在するのに、現在活用されていないもの」あるいは「このような社会資源が望ましい」といった情報が、両組織の間で共有されます。

生活支援コーディネーターの活動事例

生活支援コーディネーターは現在、全国各地の自治体で活動を続けています。その例を3つ、以下でみてみましょう。

横浜市金沢区の例

2層域の活動として、「住民同士の支え合い」を進めるうえで必要となる人材の発掘を実施。金沢区役所との協働事業である「地域づくり塾かなざわ」を2016年度から開始し、地域活動のリーダーとなり得る多くの方が参加しています。

横浜市中区の例

1層域の活動として、「ちょっとした困りごとへの対応」を事業として実施。病院の付き添いや庭の草むしり、家具の移動など、高齢者が1人でやるには大変な作業を手伝う地域団体(ボランティア)の発掘を行うために、「生活支援ボランティア講座」を2017年秋に開講しています。

福岡県北九州市の例

高齢者が徒歩で買い物できる場所を図示した「買い物環境マップ」の作成(市内全域を対象)や、各地区の独自性のある生活支援・介護予防への取り組みを共有できるネットワークの構築などを行っています。

生活支援員との違い

生活支援員との違い

生活支援員とは、高齢者もしくは障がい者に寄り添いながら、日常生活でのことに加え、生活能力の向上につながる支援などを行う専門職です。必要に応じて、創作活動や生産活動をサポートする役割も果たします。

生活支援員の勤務先となるのは、障がい者支援施設や地域活動支援センター、就労移行支援事業所および就労継続支援事業所、高齢者向けの介護施設などです。

生活支援コーディネーターの役割は、地域に住む高齢者の生活支援と介護予防サービスの提供体制構築にあります。実際に高齢者や障がい者を介助したり、就労支援したりするわけではないため、仕事内容に大きな違いがあります。

生活支援員について詳しく知りたい方は、「生活支援員とは?詳しい仕事内容や給料、将来性について解説」をご参照ください。

生活支援コーディネーターの仕事内容

生活支援コーディネーターの仕事内容は、大きく分けて3つあります。

1つ目は、地域内にある社会資源を把握し、地域のニーズに合った新たな福祉サービスを開発し、育成することです。担当する地域内の社会資源を見直すことや、地域に住んでいる高齢者のニーズにあった福祉サービスを発掘することなどが該当します。

2つ目は、地域内に新たな福祉ネットワークを構築することです。公的機関やNPO、民間機関などは、お互いに連携しない限り、地域包括ケアシステムの構築はできません。生活支援コーディネーターは、これら組織に属する人同士の仲介役となり、新たな福祉ネットワーク構築を進めていきます。

3つ目は、地域におけるニーズとサービスをマッチングさせることです。生活支援コーディネーターは、各地域内における支援に対するニーズを持っている人と、各種サービスを提供する事業所や関係機関とつなげる役割を果たします。

生活支援コーディネーターが働く場所

生活支援コーディネーターがどのように配置されるかは、市区町村ごとに決められています。

小規模な自治体であれば市役所の福祉関連の部署に配置され、大規模な自治体であれば業務委託により社会福祉法人あるいは特定非営利法人などに配置されるのが一般的です。

そのため、生活支援コーディネーターがどこで働くのかは、勤務先がある自治体の規模によって変わるのです。

生活支援コーディネーターの給料・年収

平均給与額(1ヵ月あたり)

求人サイトの募集要項をみると、条件として提示されている給与額は、平均で21万円~26万円ほどです。

月収22万円の場合であれば、基本給が約17万5,000円、特殊業務手当が3万円、常勤加算手当が1万5,000円となるのが一般的。また、宿直業務がある場合は、その手当も別途支給されます。

介護職の給料について詳しく知りたい方は、「介護系職種の給料を徹底解説!年齢別平均や給料アップのポイントは?」をご参照ください。

生活支援コーディネーターになるには未経験・無資格でも可能

生活支援コーディネーターになるための要件

生活支援コーディネーターになるための要件

生活支援コーディネーターになるためには、現行制度では特に資格要件などは設けられていません。しかし、地域で果たす役割の大きさや仕事内容などをふまえると、市民活動に対する高い理解度と諸機関を取り持つ調整力、高度なコミュニケーション能力が求められます。そのため、誰でも就労できる仕事とは言えない部分があります。

現在、国や自治体は生活支援コーディネーターを養成するための研修を実施しています。就職を希望する場合は、それらを受講してみるとよいでしょう。ガイドラインの中でも、生活支援コーディネーターになる場合は研修の受講が望ましいと明記されています。

取得が望ましい資格

生活支援コーディネーターは、制度上では無資格であっても問題ありません。しかし、実際の就職・転職が行われている現場では、保有していると歓迎される資格がいくつかあります。

具体的には、社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士、介護職員実務者研修、介護職員初任者研修、普通自動車運転免許などです。

自治体の社会福祉協議会が生活支援コーディネーター養成研修を実施していることもある

生活支援コーディネーターを対象とする研修が、全国の自治体で実施されています。

東京都では、東京都社会福祉協議会が東京都福祉保健局・高齢社会対策部の委託を受けて「生活支援コーディネーター初任者研修」と「生活支援コーディネーター現任者研修」という2種類の研修を実施。高齢者の生活支援と社会参加に資するコーディネート機能を果たすための知識とスキルの習得・向上を図っています。

具体的な研修内容としては、「初任者研修」の方は、生活支援コーディネーターと協議体の役割や理念に関する基本的な知識・技術を学べるものです。一方、「現任者研修」は「初任者研修」を修了した生活支援コーディネーターのうち、市区町村レベルで中心的な役割を担う人を対象にした実践的な研修内容となっています。

異業種から生活支援コーディネーターへの転職を成功させる方法

求人・就職状況・将来性

求人・就職状況・将来性

生活支援コーディネーターは、制度が始まってから導入・配置がスムーズに進んでいない面がありました。その理由は、2つあります。

1つは地域内にあるほかの諸機関(地域包括支援センターなど)との役割分担がわかりにくい点です。もう1つは、自治体の嘱託職員あるいは臨時職員である生活支援コーディネーターの負う業務の量と責任が大き過ぎる点です。

しかし、2020年現在、導入からすでに約5年が経過。少しずつ社会的認知度が高まり、自治体での導入も進んできました。地域社会で高齢者を支えていくという構想自体は、これからも継続されることは間違いありません。

生活支援コーディネーターが果たす役割は、今後さらに重要性を増していくでしょう。そのため、求人・就職状況は将来にわたって良好な状態が続くと予想されます。

履歴書の書き方

生活支援コーディネーターへの就職・転職の際、履歴書が重要なのは一般企業と同じです。

履歴書を書く場合、日付は郵送日または持参する日を記入します。履歴書を前もって作成する場合は、作成したときの日付を書かないように注意しましょう。

氏名は戸籍にある漢字の通りに書くのが原則です。楷書体で丁寧に書きましょう。崩し字や略字の使用は控えます。写真は「スーツ着用で提出日の3ヵ月以内に撮影したもの」がルールです。

学歴は中学校卒業もしくは高等学校入学から記載します。職歴については、正社員、もしくは派遣社員や契約社員の経験のみ書くのが原則です。一般的に、アルバイト・パートは職歴に記入しません。

向いている人、必要な知識・スキル

生活支援コーディネーターに向いているのは、高いコミュニケーション能力を持ち、中立の立場から物事を考えることができる人です。

業務上、地域内の多様な機関との連携をする必要があるため、人とスムーズにやり取りできる力は不可欠です。また、複数の機関の間を取り持つ調整役としての役割を果たすため、一部の組織をひいきするようなことがあってはなりません。公平中立の視点で業務を行える人が生活支援コーディネーターとして求められます。

また、ほかの福祉職と同様、人の役に立つことに喜びを感じられると、生活支援コーディネーターに向いています。献身の気持ちを持てることが、重要な素質の一つです。