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作業療法士とは?仕事内容から受験資格、就職先を解説

作業療法士の受験資格、合格率、仕事の内容のイメージイラスト

作業療法士の仕事内容から、資格取得のための手順、資格取得後の就職先や給与待遇、さらには作業療法士に向いている人について紹介する記事です。

混同されがちな理学療法士との業務内容の違いについてもしっかりカバー。

将来のキャリアアッププランについても提案しています。

作業療法士という資格を通じて、介護の世界にアプローチすることを考えている人にとって、役立つ情報をギュッとまとめてお届けします。

作業療法士(OT)とは日常動作の能力維持・改善に特化した国家資格

作業療法士とは、病気や怪我で障がいが生じた方に対して、「作業」によるリハビリテーションを通して、日常生活に必要な能力の回復・維持を図る専門家のことです。

ここでいう「作業」とは、着替えや排泄などのセルフケア、家事、仕事、余暇、地域活動など、日常生活にかかわるすべての活動が含まれます。

具体的にリハビリテーションの過程でどのような作業活動が行われるのかは、治療対象者によってさまざまです。

作業療法士は理学療法士や言語聴覚士と同様、国家資格です。

作業療法士と名乗って仕事をするには、作業療法士国家試験に合格する必要があります。

人数と男女比

作業療法士の男女比と総数

一般社団法人日本作業療法士協会『2017年度日本作業療法士協会会員統計資料』によると、2018年3月31日時点で、同会会員の作業療法士の数は5万7,960人です。

また、同資料で、5万7,960人のうち、男性が2万1,895人で37.8%に対し、女性が3万6,065人で62.2%であることから、現場では男性よりも女性の方が多くいることがわかります。

理学療法士とはどう違うの?

作業療法士と似ているのが、「理学療法士」です。

どちらも患者のリハビリに従事する仕事で、共通する点もありますが、仕事内容は異なります。

理学療法士は、日常生活で必要な基本的な動きのリハビリを行います。

歩く、立ち上がる、起き上がる、寝返るといった日常動作ができるようになるための機能回復が目的です。

これに対し、作業療法士は日常生活で必要な食事や入浴などの日常動作のほか、趣味やレクリエーションなども行い、身体機能だけではなく心のリハビリを行うのです。

そのため、作業療法士はうつ病などの精神障害の患者にも対応する点が、理学療法士とは大きく異なります。

ちなみに、理学療法士の方が作業療法士よりも資格保持者が多いです。

理学療法士の資格取得者は約11万人で、作業療法士の資格取得者数は約7万人です。

  作業療法士 理学療法士
資格 国家資格 国家資格
業務内容 日常動作(応用動作)や精神的なリハビリ 運動療法を用いて体幹や運動機能のリハビリ

作業療法士の仕事内容は、作業療法を用いて3つの能力をサポートすること

作業療法士の仕事内容は、体と心のサポートをするイメージイラスト

作業療法士が行うリハビリの目的は、基本的動作能力、応用的動作能力、社会的適応能力の維持、改善にあります。

心と体の基礎的な機能から社会の中で適応していくための能力まで、対象とする範囲は広いです。

運動や心身機能などの基本的動作能力

運動や心身機能などの基本的動作能力のイメージイラスト

運動能力や感覚・知覚、さらに心肺機能や精神・認知機能など、基本的な体と心の機能の回復維持を図ります。

病気や怪我によって大きな障がいを持っている方などが対象です。

医師の指示に従いながら、障がいの状態にあった作業療法が行われます。

食事や排泄などの応用的動作能力

食事や排泄、入浴、家事など、日常生活を送るうえで必要となる能力の維持、改善を図ります。

基礎的な心身機能を有していても、食事づくりや洗濯、掃除など生活を送るうえでの基本的な行動ができるようにならないと、自立にはつながりません。

作業活動を通して、こうした応用的な能力を身につけてもらうことも作業療法の役割であるわけです。

地域参加や就労などの社会的適応能力

地域活動への参加も作業療法の領域です。

ボランティア活動や町会・自治会の活動などを行えるようになることは、自宅での生活に復帰し、社会とのつながりを維持して生きていくうえで欠かせません。

また、リハビリにより就労や就学ができるようになることも、作業療法では重視されています。

最低限の日常生活を送れるようになるだけでなく、社会参加を視野に入れた活動能力の維持、回復を図ることも作業療法士の仕事です。

作業療法士の給料はいくら?

作業療法士の収入は、一般職と比較すると高いケースが多く見られます。

平均月収は25~30万円ほどで、平均年収は350~500万円ほどです。

月収 25万円~30万円
年収 350万円~500万円
パート勤務の場合の時給 1,500円~2,000円

ちなみに、厚生労働省の「平成29年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・機能訓練指導員を合わせた平均給与額は、33万5,210円でした。

作業療法士が介護施設で機能訓練指導員として勤務したときの給与待遇は、平均33万円前後と考えて良いでしょう。

作業療法士の勤務のうち、夜勤はほとんどないため手当で収入アップは難しいでしょう。

年収は、病院やリハビリテーション施設などの医療施設や福祉施設など、働く場所によって差が出てきます。

一般的には、医療施設よりも福祉施設の方が年収は低くなる傾向があります。

また、児童デイサービスや発達支援センターなどの発達分野も、給与が低くなりがちです。

作業療法士は、フルタイムだけではなくパートタイムやアルバイトで働くチャンスもある仕事です。

一度取得した国家資格は一生有効であるため、結婚や出産、育児などで一度退職した人でも、家事や子育てと両立しながら働ける職場もあります。

パート勤務の場合は時給制となり、時給の相場は1,500~2,000円ほどとなっています。

作業療法士になるには国家試験を受験する

作業療法士は、高い専門性が認められた「国家資格」です。

そのため、国家試験を受験し、合格した人のみが作業療法士の仕事に就くことができます。

ここでは受験資格の取得方法や合格率、試験内容について解説しましょう。

受験資格を取得するための3つの養成校ルート

作業療法士の資格取得に関するルート図

作業療法士の資格は誰でも受験できるわけではありません。

受験するには、まず受験資格を取得する必要があります。

受験資格を得るためのルートは、「大学(4年生)ルート」、「短期大学(3年制)ルート)、「専門学校(3・4年生)ルート」の3つがあり、いずれかを選択しなければなりません。

1.【大学(4年制)ルート】一般大学で必修科目を履修

作業療法士国家試験を受験するには、制度上定められているカリキュラムを学習する必要があります。

4年生大学の中には、作業療法になるために必修の科目を受けることができる学校が多いです。

そこで必要な単位を取得すれば、受験資格を得ることができます。

4年間大学に通うことになるため、授業料は高額です。

しかし、大学では作業療法士になるための授業だけでなく、一般教養や語学など幅広い授業を受けることができます。

専門能力だけでなく、幅広い知見を身につけることができる点は、大学ルートの大きな特徴です。

2.【短期大学(3年制)ルート】短大でカリキュラムを取る

4年生大学よりも通学期間が短い短期大学(短大)にも、作業療法士になるためのカリキュラムが組まれていることがあります。

ただし、短大というと2年制の場合も多いですが、作業療法士の受験資格を得られるのは医療系の短大であるため、卒業までは3年必要です。

4年生大学卒ではなく、短大卒という学歴にはなりますが、作業療法士になるための専門知識を集中して得ることができ、より若い年齢で就職することができます。

3.【専門学校(3・4年制)ルート】作業療法士養成課程で集中して学ぶ

作業療法士の養成課程のある専門学校でも、受験資格を得ることができます。

専門学校の利点は、社会人も通いやすいという点です。

学校を卒業後に一度は就職したものの、改めて作業療法士を目指したいと考える人にとって、専門学校の通学は合理的な選択肢と言えます。

ただし、大学卒や短大卒という学歴は得られないため、高校を卒業してすぐに作業療法士の専門学校に通うべきかどうかについては、家族などと相談して決める必要もあるでしょう。

2020年2月第55回作業療法士国家試験の合格率は87.3%

作業療法士国家試験の合格率の推移

2020年3月23日に、第55回理学療法士・作業療法士国家試験の合格発表が行われました。

受験者数は6,352人で合格者数は5,548人。合格率は87.3%となっています。</p>

このうち、新卒者の受験者数は4,795人、合格者数は4,515人、合格率は94.2%です。

全体としての合格率は、昨年比16%増、新卒者は同14.2%増となっていて、前回試験から合格率が一気に向上しました。

合格基準

作業療法士国家試験は合格基準が厳密に定められています。

2020年実施の試験では「一般問題」が1問1点で157点満点、「実地問題」が1問3点で120点満点にて構成され、「総得点277点中、167点以上、および実地問題120点中、43点以上」が合格基準でした。

具体的な得点は実施年・開催回によって変わりますが、合格基準点は概ね60%ほどです。

受験料

2020年現在、受験料は1万100円です。

受験料の額に相当する収入印紙を受験願書に貼りつけて送付します。

受験書類が受理された後では、「受験を取り止めたい」という理由で返還を申し出ても受けつけてもらえませんので注意しましょう。

試験内容

作業療法士の受験には、大きく分けて筆記試験と口述試験および実技試験の2種類の方法があります。

ただし、口述試験および実技試験は、重度視力障がい者が実地試験の代わりに受験する試験です。

それ以外の受験者は、筆記試験のみを受験します。

筆記試験

筆記試験は「一般問題」と「実地問題」で構成されています。

一般問題の科目は、「解剖学」「生理学」「運動学」「臨床心理学」「リハビリテーション医学」「病理学概論」「臨床医学大要および作業療法」などです。

一方、実地問題は「運動学」「臨床心理学」「リハビリテーション医学」「臨床医学大要および作業療法」などの科目が対象となっています。

科目数は多いです。

しかし合格率の高さを踏まえると、大学・短期大学・専門学校で学んだことをきちんと理解しておけば、十分合格のレベルに達すると考えられます。

口述試験及び実技試験

口述試験および実技試験は、「運動学」「臨床心理学」「リハビリテーション医学」「臨床医学大要および作業療法」が出題科目です。

この方法で受験する必要があるのは、重度視力障がい者の受験者であり、筆記試験の実地試験の代わりに口述試験と実技試験を受験します。

試験日と合格発表日

第55回理学療法士・作業療法士試験は、2020年2月23日(日)に筆記試験、2月25日(火)に口述試験および実技試験が行われました。

受験地は、筆記試験が北海道、宮城、東京、愛知、大阪、香川、福岡および沖縄県の市です。

口述試験・実技試験は東京都のみで実施されています。

合格発表は2020年3月23日(月)に行われました。

例年では厚生労働省および公益財団法人社会福祉振興・試験センターにて合格者の受験番号が提示されていましたが、2019度試験では新型コロナウィルス感染症の拡大により中止。

社会福祉振興・試験センターのホームページうえでの発表と、各受験者への合否と成績の通知のみ行われています。

作業療法士の就職先は?

介護施設・福祉センターなどの福祉関係施設

介護施設や福祉センターを利用している高齢者や障がい者の方に、リハビリを行います。

これらの施設を利用する方々の障がいの状態・発生理由は多岐にわたりますが、作業療法士は医師の指示のもと、リハビリプランに沿いながら、その人にあったリハビリを提供しなければなりません。

病院などの医療機関

介護施設や病院などの場で活躍できるイメージイラスト

病院にはリハビリを行うための部屋・スペースが設けられており、そこで作業療法士は、担当している患者のリハビリを行います。

医療機関では医師や看護師、ほかのリハビリ専門職などと連携しながら業務を執るのが原則です。

また、同じ病院でも、リハビリテーション病院や精神科病院など、どこで働くかによって求められる専門知識・スキルは変わってきます。

就職の際は、自分の専門領域に合った医療機関を選ぶ必要もあるでしょう。

訪問看護リハビリステーション

訪問看護リハビリステーションでは、事業所が立地する地域の方々に、訪問リハビリサービスを提供しています。

訪問看護リハビリステーションで働く作業療法士は、利用者の自宅を訪問し、ベッド上でのリハビリや屋外歩行のサポートを行うことが主な仕事です。

事業所の正職員として働く方も多いですが、空いた時間を利用して高時給のパート・アルバイトとして働くこともできます。

自分のライフスタイルに合わせた働き方もしやすいです。

やりがいは、患者の心身の調子が良くなるのを実感できること

患者の心身の調子が良くなることのイメージイラスト

作業療法士の仕事の最大のやりがいは、仕事を通して患者の心身の状態の改善を実感し、達成感を得られることです。

作業療法士は、患者が日常生活を問題なく送って社会復帰できるために、患者のサポートを行います。

怪我や病気が原因で体の機能が上手に働かなくなると、思うように動かせない体に不安やストレスを感じることが多いものです。

そんな患者が前向きになるように寄り添いながら、リハビリやトレーニングを続けることで、患者の身体機能にも改善が見られるでしょう。

改善を実感することは、患者の不安やストレスが軽くなることにもつながります。

作業療法士は、こうしたときに達成感を感じられるはずです。

また、日常の動作だけではなく、趣味やレクリエーションも含めてサポートを行うのも、作業療法士の仕事の特徴の1つです。

日常生活動作の回復や、趣味に至るまで幅広くサポートできるので、患者の人生に大きくかかわる存在になれることにも魅力を感じられるでしょう。

さらに、リハビリ方法に作業療法士自身の長所や個性を生かせることもやりがいにつながります。

リハビリは紋切り型ではなく、過去にスムーズな改善が見られたリハビリが、ほかの人にはあまり効果的ではない、というケースもあるのです。

作業療法士は、患者一人ひとりに合わせたリハビリを行うために、自分の経験を活かして内容をアレンジすることもあります。

作業療法士はこんな人に向いている!

作業療法士に向いている人についてのイメージイラスト

ここで、どのような人が作業療法士に向いているのか、詳しく説明していきましょう。

共感力を持って粘り強くコミュニケーションを図れる人

作業療法士は、粘り強く患者に寄り添ってコミュニケーションを図れる人に向いています。

なぜなら、リハビリを行う患者に対して、その人の気持ちに寄り添いながら、前向きになってもらえるようサポートするための共感力が求められるからです。

患者はリハビリに対して、「本当に改善するのか」という不安や、症状がなかなか改善しないことにいら立ちを覚えることもあります。

時には、前向きになってもらえないこともあるでしょう。そのような場合でも、根気強く患者に向かう粘り強さが必要です。

また、リハビリ中の休憩時間や空き時間に、患者と接する機会に積極的に会話をして患者のことを知ることができれば、リハビリに活かせるかもしれません。

人と話すことが好きな人も、作業療法士として向いているでしょう。

注意深く人を観察できる人

注意深く人を観察できることも、作業療法士として求められる能力です。

リハビリを受ける患者のなかには、現在行っているリハビリに不満を持っていることもあります。

しかし、思っていることや感じていることを上手に表現できない人もいるのです。

そんな患者の状態の変化に気づかずにリハビリを継続してしまうと、良い結果が得づらくなります。

そのため、患者を注意深く観察し、伝えたいことや気持ちの変化に早く気づくことが大事です。

リハビリプログラムに変化をつけるなど、柔軟な対応にもつなげられるでしょう。

探求心に富んでいる人

日常生活を送るための必要な動作ができるように、リハビリや訓練を行いサポートする作業療法士の仕事では、さまざまなタイプの日常動作を取り込んだリハビリを行います。

現在何ができないか、何がしたいかを患者からヒアリングし、その希望に沿ったリハビリプログラムを組むのも、仕事の1つです。

しかし、毎回同じプログラムでは患者も飽きてしまうことが多く、継続しづらくなってしまいます。

スムーズにリハビリを進めるためには、作業療法士が組むリハビリ内容の多様さもポイントです。

そのためには、患者だけではなく自分自身の周囲に興味を持ちながら、さまざまな情報を取り込むための探究心や好奇心を持つことも必要です。

医療機器メーカーでの開発職を目指すなどの将来設計も可能!

医療機器メーカーでの開発職に就けることも可能なイメージイラスト

作業療法士の仕事は、今後高齢化が進むに従って需要が増えていくことが予測されます。

また、将来的に医療機器メーカーでの勤務を目指すこともできます。

医療機器メーカーでは、体が不自由な人が日常動作をしやすくするための道具「自助具」の開発を行っているところがあります。

そのような企業で、作業療法士としての知識や技術を活かして開発職として働くことも可能です。

少し変わった場所では、刑務所で働く道もあります。

作業療法士は病院の精神科で働き、心の病気を抱えている人に対するリハビリを行うこともあります。これを応用し、刑務所に入る青少年に対して作業療法を行うのです。

このように、さまざまな場所で働くための将来設計が可能な作業療法士は、安定感がある職業と考えて良いでしょう。