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医療ソーシャルワーカー(MSW)はどんな職業?なるための方法や仕事内容を解説

病気になって入院すると、本人はもとよりその家族も経済的、精神的な悩みや問題が多く出てくるものです。そうした方々をサポートする専門職が医療ソーシャルワーカーです。 この記事では、医療ソーシャルワーカーの仕事内容や資格の取得方法、給料・年収、さらに異業種から医療ソーシャルワーカーへと転職する方法などについて詳しく解説します。 病気に直面して不安を感じている方々の支援に興味がある方、社会福祉の仕事に関心を持っている方は、ぜひ最後まで読んでいただき、これからのキャリアに役立ててください。

医療ソーシャルワーカー(MSW) とは

医療ソーシャルワーカー(MSW)とは、医療機関に勤務し、病気になった患者とその家族を社会福祉の面から支援する役割を担う専門職です。主に「病状にあわせて入院する部屋を調整する」「退院時の日時を調整する」「在宅復帰する際の設備改修や生活様式の提案を行う」などの業務を担います。

以下では、医療ソーシャルワーカーの役割、倫理綱領、これまでの歴史、法的根拠、1日のスケジュール、他職種との違いなどについて詳しくご紹介しましょう。

1.役割、意義、専門性

医療ソーシャルワーカーは、保健医療機関において、患者とその家族が抱いているニーズを発見し、課題解決のために医療機関をはじめとする関係各所と調整、連絡を行う役割を果たします。

患者が入退院する際の相談に応じ、療養中に発生するニーズを見つけ出してその解決を図ります。そして社会復帰を実現できるよう、サポートを行うのが医療ソーシャルワーカーの主たる業務内容です。

病院は治療をする場であるだけでなく、治療の中で生じる心の不安や心配を解決する場所でもあります。そうした支援は治療に専念する医師や看護師では難しい面もあるため、医療ソーシャルワーカーという専門職が担うわけです。

リーダーシップ研修でマネジメントを学ぶこともできる

医療ソーシャルワーカーを対象とした「医療ソーシャルワーカーリーダーシップ研修」では、地域連携とチーム医療の観点から、地域医療全体に貢献するリーダーシップとマネジメント機能を学習できます。医療ソーシャルワーク部門でリーダーとなる人材を育成することを目的とし、参加することで組織管理の手法を体系的に学べる研修です。

参加対象となるのは、医療ソーシャルワーカーとしての実務経験が10年以上の方です。そのため、管理者としてキャリアアップを目指す方に適した研修です。

2.倫理綱領

ソーシャルワーカーの倫理綱領とは、前文、原理、倫理基準で構成されているものです。医療ソーシャルワーカーとして働く場合、すべての項目を遵守しなければなりません。

前文では、ソーシャルワーカーが平和を擁護して、社会正義や人権、集団的責任、多様性尊重、全人的存在の原理に則って、人々がつながりを感じられる社会の実現を目指す専門職であることが明記されています。

原理では、以下の6つが提示され、各項目の内容を厳守することが述べられています。

  • 人間の尊厳
  • 人権
  • 社会正義
  • 集団的責任
  • 多様性の尊重
  • 全人的存在

倫理基準では、以下の4つが提示されており、ソーシャルワーカーが持つべき倫理感の具体的な内容が示されています。

  • クライアントに対する倫理責任
  • 組織・職場に対する倫理責任
  • 社会に対する倫理責任
  • 専門職としての倫理責任

ソーシャルワーカーについて詳しく知りたい方は、「ソーシャルワーカーとは?必要な資格・なれる職種を一覧で解説」をご参照ください。

3.歴史

医療ソーシャルワーカーの歴史

医療ソーシャルワーカーという職は、19世紀末から20世紀初頭にかけて、英米の貧しい労働者階級への対応策として誕生しました。日本では1929年に、アメリカで学習を終えた浅賀ふさ氏が聖路加国際病院ではじめて導入しています。

第二次世界大戦後、日本では貧困者や結核患者を主な対象として入院援助や医療費問題などに対処する医療ソーシャルワーカーが活躍。当初は公立病院が主たる職場でしたが、その後は民間病院にも普及していき、1953年には日本医療ソーシャルワーク協会が設立されました。

1960年代に入ると、医療ソーシャルワーカーは生活相談を含む幅広い業務を担うようになり、患者も結核からがんや脳卒中、心疾患などの生活習慣病、公害病が主となっていきます。その後、日本で少子高齢社会の到来が指摘される中、地域福祉の実現を担う存在として、医療ソーシャルワーカーへの社会的な注目度が次第に向上。2000年には介護保険制度がスタートしましたが、ケアマネージャーとして活動する医療ソーシャルワーカーも登場するようになりました。

今や医療ソーシャルワーカーが誕生して1世紀が経ちましたが、現在も求められる役割は絶えず変化しています。しかし、患者とその家族に寄り添うという姿勢そのものは変わっていません。

4.法的根拠

医療ソーシャルワーカーという職業は、法律などでは定められていません。しかし、業務内容については、各機関で指針として規定されています。例えば保健所での業務内容は、1958年に制定の「保健所における医療社会事業の方針」において規定されています。

病院あるいは介護老人保健施設などで働く医療ソーシャルワーカーの仕事内容については、1989年に厚生労働省から通知された「医療ソーシャルワーカー業務指針」が根拠づけています。

5.医療ソーシャルワーカーの1日

医療ソーシャルワーカーがどのようなスケジュールで働いているのか、以下の図で確認してみましょう。

医療ソーシャルワーカーの1日

6.やりがい、楽しさ

社会的にニーズが高まりつつある医療ソーシャルワーカーですが、実際に各医療機関で働いているのは、数名~10数名ほどです。病院でもそれほど多くの人数は採用できないというのが現状なのです。

しかし、少人数だからこそ、病院内では重要な役割と責任を担っています。その分やりがいも大きなものです。

また、医療ソーシャルワーカーの社会への貢献度は高く、その仕事に取り組むことには大きな意義があります。

7.医療ソーシャルワーカーの課題

入院の際、患者とその家族は、病気、加齢、疾病、誕生、喪失などの転機に直面しています。その苦境や痛みにどのように寄り添い、その緩和を実現するのかは、今後も医療ソーシャルワーカーの大きな課題です。

また、本人が受け入れがたい障がいや病気、恐怖、不安、絶望といった全人的な苦しみに共感し、すぐ近くでサポートできるようになることも必要です。

8.従業者数

福祉医療機構によると、医療ソーシャルワーカーの人数(医療機関で働いている社会福祉士や精神保健福祉士、医療社会事業従事者の人数)は、2万7,562人(2017年10月時点)です。

ここ10数年で、医療ソーシャルワーカーは約1万5,000人も増えているとみられています。

9.他職種との違い

社会福祉士との違い

社会福祉士は、福祉の相談援助に関係する職務を担うという点では、医療ソーシャルワーカーと同様です。

しかし、社会福祉士が福祉全般の相談に応じることができ、就業場所も福祉施設だけでなく企業や学校など多岐にわたるのに対して、医療ソーシャルワーカーは主に医療機関で就業し、入院患者とその家族を中心に相談業務を行います。

また、社会福祉士が国家資格であるのに対して、医療ソーシャルワーカーはそれ自体に資格はなく、社会福祉士の有資格者が医療ソーシャルワーカーとして職に就くという点で異なっています。

ケアマネージャー(介護支援専門員)との違い

ケアマネージャー(介護支援専門員)

ケアマネージャーは、介護保険サービスを利用する要介護認定を受けている方に対して、ケアマネジメントを実施する専門家です。ケアマネジメントとは、介護保険サービスの利用計画書(ケアプラン)の作成とそのアセスメントや各種サービスを提供する機関との調整などを行うことを指します。介護サービスを必要とする側と提供する側とをつなげる役割を果たすのがケアマネージャーなのです。

医療ソーシャルワーカーはケアマネジメントを担うことはせず、入院患者とその家族を社会福祉の面からサポートするのがその主な役割という点が異なります。

看護師、保健師との違い

看護師は医師をサポートし、医療ケアを提供する専門職、保健師は地域の方に対して保健指導や健康診断などを行う専門職です。最近ではメンタルヘルスが重視視されるようになり、保健師を配置する企業も増えています。

医療ソーシャルワーカーは、あくまで医療機関などの場所で、患者とその家族を支援することが役割です。

民生委員との違い

民生委員とは、厚生労働大臣の委嘱により、地域住民の相談に応じながら必要な支援を行っています。また、地域の児童委員も兼務します。なお、民生委員には報酬として給料が支払われることはなく、仕事上に発生した費用が弁償費として支払われるのみです。

一方、医療ソーシャルワーカーは医療機関に勤務して、患者とその家族を支えます。民生委員とは役割もさることながら、働き方にも大きな違いがあるわけです。

生活相談員との違い

生活相談員とは、特別養護老人ホームや知的障がい者授産施設、養護老人ホームなどに配置されているソーシャルワーカーです。利用者が日常生活を送りやすくするための援助計画を立案し、関係各所と連携しながら支援を進めます。

生活相談員とは同じソーシャルワーカーですが、医療ソーシャルワーカーは医療機関に配置されている点が異なります。

多職種連携は必要不可欠

多職種連携については、1980年代から世界保健機関(WHO)がその必要性を主張していましたが、当時はあまり注目されていませんでした。2010年、WHOは改めて多職種連携に関する報告書を作成。連携を担うのは医療関係の専門職に加えて、各種事業所の管理者や地域コミュニティのリーダーやボランティアなども含むこととしました。

医療ソーシャルワーカーと多職種連携をとる専門職は、医師、看護師、理学療法士、言語聴覚士、作業療法士、栄養士、薬剤師、社会福祉士、歯科医師、歯科衛生士、精神保健福祉士などです。地域包括ケアシステムを構成するという点では、これら専門職に加えて、各種社会福祉施設の職員や民生委員、ボランティア団体の構成員、NPO法人の職員、自治会などの地域支援者などが連携に加わります。

医療ソーシャルワーカーの仕事内容

1.業務指針

厚生労働省では、「医療ソーシャルワーカー業務指針」を定めています。

医療ソーシャルワーカーの業務指針とは、業務の範囲や方法などについて定め、社会福祉学を基づいた専門性を十分に発揮して業務を行えるように、関係者の理解の促進につなげることを目的に設定されたものです。

医療ソーシャルワーカーの業務内容としては、療養中の心理的あるいは社会的な問題の解決と調整の援助、退院のサポート、社会復帰に向けた支援、受診や受療のサポート、経済的な問題の解決と調整援助、地域活動などが挙げられます。

退院支援も行う

退院支援

医療ソーシャルワーカーの主な業務は退院の支援です。病院に入院した患者は、退院後の療養生活のこと、療養費や生活費のことなど、退院した後の生活に不安を感じるケースが多くあります。実際、退院支援という面で医療ソーシャルワーカーに持ち込まれる相談件数は多く、その内容も多岐にわたるのが一般的です。

しかし現場では、必要な数に対して医療ソーシャルワーカーの数が少なく、十分に対応しきれないケースも生じています。この不足感をどのように補っていくのかは、日本の医療・福祉において解決しなくてはならない問題です。

生活保護申請の相談に乗ることもある

「転院しながら治療を続ける」あるいは「在宅で療養生活を続ける」という場合、多くの人が直面するのが経済的な問題です。医療ソーシャルワーカーは、生活保護の申請に関する相談にも対応し、必要な支援を行います。

また、生活保護以外にも高額療養費や傷病手当金、その他の公費負担に関する申請の相談や、健康保険や年金、その他の社会福祉制度の利用についての相談への対応も必要です。患者とその家族の生活を経済的な面から支援することも、医療ソーシャルワーカーの役割です。

2.働く場所

医療ソーシャルワーカーの職場となる組織は、医療機関がメインです。

具体的には、以下のような場所が該当します。

  • 一般病院・診療所
  • 精神科病院
  • 介護老人保健施設
  • 保健所・保健センター

地域連携室・医療福祉相談室

病院の中には「地域連携室」や「医療福祉相談室」といった部署を設けて、医療ソーシャルワーカーを配置したうえで、病気によって生じる多様な問題について相談を受け付けているところもあります。

特に、地域に根差した運営をしている医療機関では、地域住民の満足を得られるサービスを提供できるように、医療ソーシャルワーカーに活躍の場を提供していることが多いです。

こうした医療機関では、ほかの医療機関から紹介患者を受け入れる際の相談窓口、その病院の患者を地域内の医療機関に紹介する窓口、ほかの医療機関での受信予約の連絡調整役などを医療ソーシャルワーカーが行います。

地域包括ケアにおける医療ソーシャルワーカーの役割

地域包括ケアにおいて、医療ソーシャルワーカーは重要な役割を果たしています。例えば、行政・制度に対するアドボカシー(擁護・代弁)という点では、地域課題を自治体レベルで検討する会議に参加し、その場で住民のニーズを把握して、地域課題の抽出、解決方法の提案を行います。

また、地域ネットワークの構築という点でも、退院前に行う地域ケア個別会議の調整役となり、患者とその家族の意思や希望に基づいた地域資源の利用と新たなネットワークをつくり上げる役割を果たします。

さらに、医療機関などでの退院支援を通して、患者とその家族の意思や希望を尊重し、ニーズを充足するためのソーシャルケースワーク(個別援助技術)の面接を実施するのも医療ケースワーカーの仕事です。

公務員として働く場合もある

公務員として働く場合もある

福祉系の国家資格である社会福祉士や精神保健福祉士、あるいは社会福祉主事の資格を取得していて、かつ公務員試験に合格して採用されている人が、医療ソーシャルワーカーとして業務にあたるケースもあります。

ただし、公務員の募集人員には限りがあるため、希望する部署での募集が毎年行われない自治体も多いので、就職・転職を考える際は事前に求人をチェックしましょう。

福祉を専門的に学んでいる人は、公務員として就職後、優先的に福祉分野の関連部署に配属されることが多くなっています。しかし、職場の事情によっては、全く異なる部門に配属されることもあるので、その点は覚悟をする必要があります。

医療ソーシャルワーカーになるには?

資格取得ルート

1.取得したい資格

社会福祉士

医療ソーシャルワーカーとして働くために必要な資格の一つが、社会福祉士です。社会福祉士の資格を取得するには国家試験に合格する必要があります。国家試験の受験には、まず受験資格を満たさなければなりません。

社会福祉士国家試験の受験資格を得る方法は、合計で6つの方法があります。

  1. 福祉系大学・短大ルート1…大学で指定科目履修。3年制短大の場合は相談援助の実務経験1年以上、2年制短大の場合は相談援助の実務経験2年以上があわせて必要
  2. 福祉系大学・短大ルート2…大学で基礎科目履修+短期養成施設などに6ヵ月以上通学。3年制短大の場合は相談援助の実務経験1年以上、2年制短大の場合は相談援助の実務経験2年以上があわせて必要
  3. 社会福祉主事養成機関ルート…社会福祉主事養成機関で学習後、相談援助実務2年以上
  4. 実務経験ルート…児童福祉司、身体障がい者福祉司、査察指導員、知的障がい者福祉司、老人福祉指導主事のいずれかにおいて実務経験4年以上。その後、短期養成施設などに6ヵ月以上通学
  5. 一般大学・短大ルート…卒業後、一般養成施設などで1年以上学習。加えて3年制短大の場合は相談援助の実務経験1年以上、2年制短大の場合は相談援助の実務経験2年以上があわせて必要
  6. 相談援助実務経験ルート…相談援助実務4年以上

精神保健福祉士

精神保健福祉士

医療ソーシャルワーカーとして働くための資格のもう一つに、精神保健福祉士があります。精神保健福祉士の資格を取るには国家試験に合格する必要があります。その受験資格を取得するルートは、以下のようなものがあります。

  1. 保健福祉系大学・短大ルート…指定科目履修。3年制短大の場合は相談援助の実務経験1年以上、2年制短大の場合は実務経験2年以上があわせて必要
  2. 福祉系大学・短大ルート…基礎科目履修+短期養成施設などで6ヵ月学習。3年制短大の場合は相談援助の実務経験1年以上、2年制短大の場合は実務経験2年以上があわせて必要
  3. 社会福祉士ルート…社会福祉士の資格+短期養成施設などで6ヵ月学習
  4. 一般大学ルート…一般養成施設などで1年学習。3年制短大の場合は実務経験1年以上、2年制短大の場合は実務経験2年以上があわせて必要
  5. 実務経験ルート…実務経験4年+一般養成施設などで1年学習
通信制の一般養成施設、短期養成施設で学習

精神保健福祉士の受験資格を得るための一般養成施設あるいは短期養成施設には、昼間は仕事により通学できない方のために、通信制のコースを設けている学校が数多くあります。

インターネット上の動画を視聴して、課題のレポートを提出するというのが基本的な学習スタイルです。

ただし、精神保健福祉士の養成施設で学ぶ場合、医療福祉施設で実施する実習やスクーリングを履修しなければなりません。これは自宅では履修できず、通うための時間を確保する必要があります。

無資格・未経験でも医療ソーシャルワーカーの職に就くことはできる?

そもそも「ソーシャルワーカー」という呼称は、社会福祉士または精神保健福祉士の資格取得者の総称です。そのうち、医療機関に勤務している人のことを医療ソーシャルワーカーと呼びます。そのため、医療ソーシャルワーカーを名乗れるのは、これらの有資格者のみです。

しかし、無資格者でもソーシャルワーカーと同様の業務を行うことはできます。ただしその際、呼称はソーシャルワーカーではなく「相談員」となります。

2.資格・試験の難易度

医療ソーシャルワーカーとして働くためには、社会福祉士あるいは精神保健福祉士の国家資格が必要です。2020年2月2日に行われた第32回社会福祉士国家試験では、受験者数3万9,629人に対して合格者数は1万1,612人。合格率は29.3%となりました。

社会福祉士試験は受験資格を得るだけでも大変ですが、試験自体の合格率も3分の1程度です。やはり取得までの難易度は高めだと言えます。

資格を取得するメリット

医療ソーシャルワーカーの存在によって、医療機関は患者やその家族が抱えている問題を明確にできます。加えて、他機関との連携もスムーズになります。より良い福祉サービスの提供につながるため、病院にとって医療ソーシャルワーカーは最低限確保したい人材です。

また、医療ソーシャルワーカーを目指すということは、社会福祉士または精神保健福祉士の資格取得を目指すことと同じです。これらの国家資格は、社会福祉の専門家としての能力を証明する資格であり、医療機関はもとより、一般企業や学校など多様な場所でニーズがあります。

そのため、医療ソーシャルワーカーを目指し、社会福祉士または精神保健福祉士の資格を取得することで、就職や転職を有利に進めることができるようになります。

医療ソーシャルワーカーの給料・年収

保有資格ごとの平均給与額(1ヵ月あたり)

「平成26年度介護労働実態調査」によると、社会福祉士の平均賃金は月給制だと26万3,975円、日給制だと14万9,025円、時間給では11万761円となっています。全体としての月収相場は22万円~30万円、年収で計算すると320万円~550万円ほどです。

医療ソーシャルワーカーとして働く場合も、上記の金額と同様の水準になると考えられます。

医療ソーシャルワーカーの給料について詳しく知りたい方は、「【2020最新版】医療ソーシャルワーカーの給料を年齢、職場、地域ごとに徹底解説!」をご参照ください。

異業種からの転職を成功させる方法

1.求人・就職状況・需要

高齢化によって、医療ソーシャルワーカーの需要は年々増加しています。医療ソーシャルワーカーは、社会福祉士や精神保健福祉士のような専門性、信頼性の高い国家資格所持者であるため、基本的に人材としてのニーズは高めです。

また、医療ソーシャルワーカーは医療機関が就業先となるため、景気に左右されにくい面があります。国家資格を取得しておけば、年齢や地域を気することなく働けるので、将来性の高い職業です。

2.履歴書の書き方

就職活動や転職活動の際、履歴書が「本人の顔」と言うべき書類であることは、一般企業の場合と何ら変わりません。誤字脱字や記載ミスに注意しながら、正確に書くことが大切です。

まず、履歴書の日付は、郵送で提出するときは窓口受付する日、ポストに投函するときは投函日を記入します。面接で直接持参するときは、面接日を記入しましょう。

氏名は戸籍の漢字の通りに楷書体で丁寧に記入します。履歴書用紙に「ふりがな」と印刷されているときはふりがなで、「カタカナ」とあればカタカナでふりがなを書きましょう。生年月日は、日付を記載するときに選択した和暦または西暦のいずれかの形式にあわせます。

学歴は中学校卒業もしくは高等学校入学から記載するのが基本ルールです。高等学校は「高校」と略さずに書きましょう。職歴についてはアルバイトやパートの経歴は含まないのが一般的です。正社員、派遣社員、契約社員としての経験のみを記載します。

3.魅力的な志望動機の書き方

志望動機欄を書くうえで重要なのは、なぜその医療機関を志望したのかを書くことです。同じ地域に医療機関が複数あるにもかかわらず、その施設でなければならない理由を説明すると、採用担当官に納得してもらいやすいです。

自分の経験や体験をからめて書くと、より説得力が増します。ありきたりな言い回しではなく、自分の言葉で書くことで、より高く評価されるでしょう。

なお、志望動機欄は必ず8割以上を埋めましょう。少ない文字数だと見栄えが悪く、採用担当官への印象が悪くなる恐れがあります。

4.面接での留意点

面接での留意点

面接を受ける際は、スーツ着用が原則です。応募先によってはカジュアルな服装でも問題ない場合はありますが、自分で判断がつかないときはスーツを選択するのが無難です。 私服でも構わないという連絡を受けていても、デニムやサンダルのようなラフすぎる格好は避けましょう。

面接時には香りの強いメイクや香水は避けて、身につけているアクセサリーも外しましょう。また、面接日に着ていく服は、シワや汚れのないものを選びます。面接官に清潔感を与える外見で試験にのぞみましょう。

5.向いている人、必要な知識・スキル

医療ソーシャルワーカーは人と接することが多い職業です。多数の人とかかわりながら仕事に取り組むことが好きな人や、コミュニケーション能力が高い人に向いています。

患者とその家族が直面している悩みは千差万別。しかも、自分たちの置かれている状況を正確に伝えきれないケースも多いのです。

そうした方々と接し「困っている原因」を見抜くための洞察力が欠かせません。普段から人の心に寄り添い、気持ちを汲み取る能力を培っておくことが大切です。