社会福祉士の給料を年齢、職場、都道府県ごとに徹底解説!

社会福祉士の給料相場はどのくらいなのか詳しく見ていきましょう。年齢別の給料相場から初任給、ボーナス、都道府県ごとや働く施設ごとの違いまでを網羅し、比較しながら理解しましょう。

社会福祉士の給料相場(平均値)

「平成26年度 介護労働実態調査」によると、社会福祉士の賃金は次の通りでした。

月給制 26万3,975円
日給制 14万9,025円
時間給 11万761円
出典:厚生労働省 時点

社会福祉士の月収の相場は、22万円~30万円ほど、年収の相場は320万円~550万円ほどです。

1.年齢別、男女別の平均給料

日常生活で困っている人を助けるイメージイラスト

社会福祉士の年齢別平均年収は下記のようになります。

年齢 平均年収
20~29歳 284万円
30~39歳 335万円
40~49歳 407万円
50~59歳 482万円
60~69歳 301万円
出典:「社会福祉士・介護福祉士就労状況調査結果」(社会福祉振興・試験センター) 時点

このように、20代、30代は年収が低めで、勤続年数や経験次第で給料が高くなる傾向が強いです。

また、男女別の平均年収は男性が449万円なのに対して、女性は320万円。男性の方が高い傾向があります。

社会福祉士の年代別年収のグラフ

2.初任給

社会福祉士の初任給についてのイメージイラスト

一般的な社会福祉士の初任給は、21万円~23万円ほどです。

月収 21~23万円

実際に働き出してから勤続すれば、上記の金額から収入は増えていきます。

3.手取り

社会福祉士の額面給料は、月収20万円台後半から30万円台前半が平均です。20代の若手は20万円を切ることも珍しくありません。

額面給料から税金や社会保険料などを差し引いた手取りは一般的に数万円低い金額となります。月収27万円程度が目安と言えるでしょう。

40代から50代になると、30万円台に入ってきます。勤続年数や経験によって月収が少しずつアップしているので、ベテランになればまとまった手取り額になることも期待できます。

4.ボーナス

社会福祉士のボーナスの目安は約70万円。最低60万円程度、多いケースでは150万円前後支給されます。ボーナスは年に2回、夏と冬の支給が一般的です。1回当たりの支給額は、月給の1ヵ月分が最低ラインといえます。

ただし、ボーナスの支給額は勤務先の規模や経営状況、本人の経験や勤続年数で異なります。とくに民間と公務員では支給の基準もさまざま。公務員や団体職員なら月給の4ヵ月分ほどのボーナスが一般的ですが、民間ではボーナスがほとんど出ない施設もあります。

5.手当、福利厚生

社会福祉士の手当イメージイラスト

社会福祉士の勤務先で人気の公的機関では、基本給やボーナスのほかに各種手当が充実しています。例えば、福祉事務所や児童事務所、官公庁なら、通勤手当や住居手当をはじめ手厚く手当が支給されます。また、慶弔休暇やリフレッシュ休暇など、福利厚生も充実しています。

介護施設や老人ホーム、医療機関などで働く場合も、公務員に準じた手当や福利厚生の施設が多くなっています。

民間では手当や福利厚生の取り扱いに差はあるものの、国家資格である社会福祉士は比較的厚遇されているといえます。

都道府県ごとの平均給料

1.給料が高いのは東京

社会福祉士の給料は、都会ほど高くなる傾向があります。とくに関東エリアの平均年収は高めで約330万円です。

都道府県別のトップは東京都。年収は約350万円。

年収ベースで比較すると、関東平均より20万円ほど高めです。

2.給料が安いのは秋田

都道府県別の社会福祉士の年収最下位は、秋田です。平均年収は約260万円で、北海道・東北エリアの平均年収280万円より20万円低い金額です。トップの東京都と比べると、約90万円の差があります。

北海道や東北エリアのように地方は全体的に年収が低めです。

このように、地域によって人口や経済力と社会福祉士の年収に関係が深いことがわかります。

雇用形態別の収入一覧表

「社会福祉士・介護福祉士就労状況調査結果」(社会福祉振興・試験センター)によると、雇用形態別の社会福祉士の平均年収は次の通りでした。

         
雇用形態 男性 女性
正規職員 454万円 380万円
非正規職員 315万円 277万円
出典:「社会福祉士・介護福祉士就労状況調査結果」(社会福祉振興・試験センター) 時点

1.正規職員の場合

正規職員の平均年収は、男性454万円、女性380万円。非正規職員や派遣なども含めた社会福祉士全体の平均年収が男性439万円、女性339万円となっているので、平均よりやや高めの金額となっています。

正規雇用のため立場が守れていること、手当や福利厚生が充実しているなど、正規職員のメリットはたくさん。安心して働けるのがポイントです。

調査によれば、非正規職員よりも100万円以上高い給料が見込めます。

2.非正規職員の場合

社会福祉士として働くとき、非正規職員は正規職員よりも給料がかなり低くなります。正規職員の平均年収は男性454万円、女性380万円なのに対して、非正規職員は常勤で男性315万円、女性277万円。

さらにパートになると男性197万円、女性146万円です。常勤でも非正規職員は男性約130万円、女性約120万円の差があります。

働く施設ごとの平均給料

1.高齢者福祉施設で働く場合の収入

高齢者福祉施設で働く場合のイメージイラスト

社会福祉士の活躍する代表的な場所は、介護老人保健施設や特別養護老人ホームといった高齢者のための福祉施設です。社会福祉士のホームグラウンドといえるほど大きな役割を果たしていて、社会福祉士のうち約4割は何らかの高齢者福祉施設に勤務しているというデータもあります。

生活相談業務だけでなく、現場で直接利用者の介護業務を担当する施設もあるので、勤務先で業務内容は大きく異なっているのが特徴です。

厚生労働省の「平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果」によれば、高齢者福祉施設で働く社会福祉士の平均給料は常勤者の月給で以下のようになります。

                 
施設 平均給与額
グループホーム 33万5,040円
デイサービス 30万70円
訪問介護事業所 32万7,260円
特別養護老人ホーム 37万1,630円
介護老人保健施設 31万1,140円
出典:「平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果」(厚生労働省) 時点

平均年収は、社会福祉士の平均相場とほぼ同じで、300万円から500万円程度となっています。

2.医療施設で働く場合の収入

公立や民間の病院や診療所で勤務する社会福祉士の平均年収は400万円程度が相場です。

主に病院では地域の病院や診療所と患者の受け入れや転院を支援する地域連携室、患者のさまざまな悩みの相談を受け付ける生活相談室に所属します。高齢者福祉施設に比べると大きな収入は見込めないものの、社会福祉士本来の業務に専念できるのが一般的です。

3.社会福祉協議会で働く場合の収入

公務員に準じた給与や手当、福利厚生が魅力で、年収は勤続年数や経験に応じて500万円から700万円前後まで見込めます。

高齢者や障害者、低所得者など、生活に困窮した市民の相談窓口となってアドバイスや支援事業を行っています。社会福祉協議会の本部で勤務するほか、市役所などの福祉窓口で働く場合も増えています。

公的な団体職員なので雇用も安定しており、業務時間が決まっているのも魅力です。

4.公務員として働く場合の収入

公務員として働く場合のイメージイラスト

社会福祉士は、さまざまな公的機関で活躍できるケースが多くあります。自治体の福祉関連の部署や国公立の病院に福祉施設、地域包括支援センターなどで募集されています。

こうした公的機関で公務員として働く場合、一定額以上の月収や賞与があって安定的に昇給し、かつ手当などの福利厚生が充実している魅力があります。

年収は400万円以上を見込めるケースが多く、管理職になると600万円を超す場合も珍しくありません。

団体別の平均年収・給料

全国すべての地方公共団体で働く社会福祉士の平均年収は504万円。さらに細かく見ていくと、勤務先が都道府県の場合は571万円、指定都市は522万円で、市488万円、町村460万円、特別区581万円となっています。

このように、同じ公務員として働く社会福祉士でも、自治体の規模によって平均年収が大きく変わってきます。

社会福祉士の求人を検索する

社会福祉士の昇給の状況

介護職員全体の勤続年数ごとの平均月収

「平成29年度介護従事者処遇状況等調査結果」をもとに介護職員全体の勤続年数ごとの平均月収はグラフにすると以下の通りです。

勤続年数ごとの平均月収

このグラフを表にすると以下のようになります。

勤続年数 平均月収
0年(勤続0ヵ月~11ヵ月) 23万2,460円
1年(勤続0ヵ月~11ヵ月) 26万4,550円
2年(勤続0ヵ月~11ヵ月) 27万1,110円
3年(勤続0ヵ月~11ヵ月) 27万9,020円
4年(勤続0ヵ月~11ヵ月) 28万3,520円
5年(勤続0ヵ月~11ヵ月) 28万9,980円
6年(勤続0ヵ月~11ヵ月) 29万2,770円
7年(勤続0ヵ月~11ヵ月) 29万8,960円
8年(勤続0ヵ月~11ヵ月) 30万3,600円
9年(勤続0ヵ月~11ヵ月) 30万6,960円
10年(勤続0ヵ月~11ヵ月) 31万2,360円
出典:「平成29年度介護従事者処遇状況等調査結果」(厚生労働省) 時点

上記のデータからわかるように、介護職員(※)全体の平均月収は、勤続年数が1年増えるたびに、5,000円~3万円ほど増加しています。

※ここでの「介護職員」とは、介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員、実務者研修修了者、初任者研修修了者、無資格者で、介護業務を行う者を指します

上記のデータは、あくまでも介護職員全体のデータで、社会福祉士のデータではありません。

しかし、社会福祉士も、上記のデータと同様、勤続年数が増えるほど定期的に昇給すると考えて良いでしょう。

なお、社会福祉士の昇給ペースは、勤務先の施設や事業所の事業方針や地域性など、さまざまな要素で異なります。

昇給ペースを詳しく知りたいときは、就職を希望する施設に問い合わせたり、施設のホームページに記載されている給料のモデルケース(例:勤続~年目で年収~万円といった情報)を参考に考えたりするのが良いでしょう。

社会福祉士が給料を上げるための方法

社会福祉士の給料をさらに上げるイメージイラスト

ここからは、社会福祉士の資格を生かして収入アップを目指すための、おすすめのアプローチ方法をご紹介します。

1.管理職にキャリアアップする

現在働いている職場で活躍して、管理職を目指すのが給料アップを目指す際の王道です。社会福祉士として働きながら現場で経験を積み、さらにに合格すると、幅広い知識やスキルを評価されるだけでなく、実際に資格手当が給料にプラスされていきます。

また、福祉や介護の深い経験と専門的な知識を、運営する側から認められれば、施設管理者や経営に携わる役職への昇進の可能性が生まれます。

ただし、キャリアアップするにつれて、社会福祉士の資格を生かした業務から離れていき、経営やマネージメントの方向へ移っていく可能性が高いと考えてください。

管理職でなかったときとは、求められる業務の内容やクオリティが変わることは心に留めておきましょう。

2.独立型社会福祉士を目指す

独立型社会福祉士のイメージイラスト

社会福祉士は独立開業が可能な国家資格です。

民間の施設や公的機関に勤務するよりも、自分で経営して収益を上げていくことで大幅な収入アップを目指せます。

社会福祉士の資格で独立開業している人を「独立型社会福祉士」といいます。独立型社会福祉士のなかには、ケアマネージャーなどの資格も持っている人が多く、幅広い専門的知識やスキルと経験できめ細かなサービスを利用者に提供できる人が多く活躍しています。

ただし、独立型社会福祉士としての働き方にはデメリットがあります。独立型社会福祉士は経営者であるため、営業から業務までこなしていかなければなりません。したがって自身の営業手腕によっては収入が下がる可能性もあります。

しかし、こうしたリスクはあるものの、民間の施設や公的機関に勤務するよりは圧倒的に収入を大きくできるチャンスが広がっています。

社会福祉士は成年後見人として認定されやすい

近年、需要が増加している成年後見人の活動は、社会福祉士が最も強みを発揮できる分野です。成年後見人とは、認知症などを理由として判断能力が衰えてしまった人に代わり、財産管理や意思決定を行う人です。

社会福祉士は資格で求められる内容と成年後見人に必要な知識や経験が重なる部分が多いからで、家庭裁判所の認定も下りやすくなります。

3.転職する

前職までの経験をアピールして、思い切って転職するのもおすすめです。

福祉業界や介護業界は基本的に売り手市場のため、社会福祉士のニーズは高く、求人情報を探したり人材紹介会社を利用したりすれば、今の職場の給与より高い施設を見つけられる可能性もあります。

ただし、まったく新しい職場で働くことになるため、給料アップは実現しても、働き始めてから自分の希望とマッチしない事態が発生するかもしれません。

時間外労働が多かったり、予測していたよりも昇給ペースが遅かったり、職場の雰囲気や人間関係が自分に合わなかったりする場合も考えられます。

そうした結果にならないためにも、求職するときは、ネット上での情報収集の徹底や、転職サービスや就職エージェントを活用して業界にくわしい人に相談するなどの事前準備をおすすめします。

できるだけ自分に合った転職先を見つけるために、充分な転職対策をするのが良いでしょう。

社会福祉士の求人を検索する