介護助手とは?仕事内容からなり方、働くメリット・デメリットを解説

介護の仕事に興味があるものの、資格は何も持っていないという方もいらっしゃるでしょう。その場合、「介護助手」として働くという方法があります。人手不足が続く介護業界では近年、無資格の介護助手が活躍できる職場が増加しています。介護現場をスムーズに動かす存在として注目を集めているのです。 こちらの記事では、介護助手の業務内容から活躍する職場や平均給与額を紹介。さらに、介護助手として働くことの将来性についても詳しく解説します。 無資格・未経験ながらも高齢者のために何か役に立ちたい、高齢化が進む日本社会を支えたいという方は、ぜひ参考にしてください。 もっと見る
介護助手が仕事をしているイメージイラスト

介護助手が仕事をしているイメージイラスト

介護助手とは介護専門職の補助を行う職種

介護助手とは、介護専門職の助手・補助として介護現場で働く人のことで、資格が不要の職種です。

専門的な介護業務には介護福祉士など経験豊富な有資格者が従事する一方で、介護助手は部屋の整備など介護業務に付随して発生する簡単な業務を担います。こうした役割分担を行うことで、介護専門職はより専門性の高い業務に集中することができ、介護現場の生産性はより向上するのです。

介護助手は業務内容がシンプルで、専門的な知識やスキルがなくても従事できることから、アルバイトなどでも働きやすいと言えます。

介護助手になるには無資格でも可能

介護助手になるには無資格でも可能

介護助手として働く場合、資格は必要ありません。時間をかけて勉強することなく、すぐに仕事を始めることができます。

しかし、ある程度介護について学んでから仕事をスタートしたいという方もいるでしょう。そうした方のために、地方自治体などでは介護の基礎を学べる無料講座を開講しているケースもあります。

ただし、講座の内容は自治体によって異なります。1日のみ開講というところもあれば、8日間にわたってしっかりと教えてくれるところもあるので、お住まいの地域ではどのような講座が開校されているのか確認すると良いでしょう。

介護助手が注目される背景

介護助手制度に積極的な厚生労働省

介護助手制度に積極的な厚生労働省

厚生労働省は現在、無資格・未経験で、介護現場の単純作業を担う介護助手制度の導入に注力しています。自治体の中にも積極的に介護助手の雇い入れを促進しているケースがみられます。

こうした介護助手の受け入れを推し進めていく背景にあるのが、介護人材の圧倒的な不足です。厚生労働省によると、2020年10月時点における全産業の平均有効求人倍率は0.97倍だったのに対し、介護業界における平均有効求人倍率は3.85倍。全産業平均の4倍近くも高いのです。

また、厚生労働省の試算によれば、介護業界全体での人材不足数は2020年度末時点において約26万人にのぼり、団塊の世代が75歳以上となる2025年度末までには約55万人にまで増えると予想されています。わずか5年で、介護人材の不足数は2倍以上に増えてしまうわけです。

こうした状況を改善すべく、行政側としては無資格・未経験でも介護助手として介護分野で働いてもらい、介護人材を確保したいと考えているのです。

三重県では高齢者の活用に向けたモデル事業も実施

三重県では現在、地域の元気な高齢者を介護助手として導入する事業を行っています。

高齢者と一口にいっても、要介護認定を受けている方がいる一方で、高齢になっても健康を維持し、元気に働ける方も多いです。三重県では全国に先駆けて60~75歳くらいの方を対象に介護助手人材づくり事業を実施。高齢者の介護を行う人手を高齢者で補うという形で、人材確保に乗り出しています。

実際に介護助手として働いた高齢者の方にアンケートをとったところ、「同年代の利用者さんとお話できて楽しい」「若い職員さんから感謝の言葉をもらえたことがうれしかった」など、やりがいを感じている声が上がっていました。

介護助手の導入に補助金も下りる

三重県では介護助手を導入した介護事業所に対して補助金を支給する介護助手導入支援事業を実施しています。

介護事業所は介護助手を募集するにあたって、人材募集の説明会を実施したり、就労環境を整えたりすることが必要です。

県ではそうした介護助手雇用にかかわる費用に補助金を出し、支援をしています。具体的には、説明会などに専門家などを招いた際にかかる経費、広告費、会場使用料、介護助手の指導にかかわる職員の諸手当、などです。

介護助手導入実施の目的

三重県が発表している「介護助手導入実施マニュアル」によれば、高齢者を対象に介護助手の導入に力を入れている目的の1つは、介護現場の管理者と介護職員の共通の悩みとなっている「介護人材の確保」です。介護助手を導入することは介護人材のすそ野を広げ、多様な人材を介護分野に得られる機会となるでしょう。

そして第2の目的とも言えるのが、介護業務の質の向上。介護助手という介護現場で補助的な業務を担う人材を増やすことで、介護福祉士などの介護職員は身体介護や個別のニーズになどに注力できます。つまり介護助手の導入は、介護人材の役割分担・機能分化につながるわけです。

さらに第3の目的として、高齢者の就労や健康づくりの実現という側面があります。お元気な高齢者の場合、何かしらの形で就労したいと考えている人は多いです。また、就労は身体機能の衰えを防ぎ、認知症の予防につながるとの研究結果もあります。高齢者に介護助手として働いてもらうことで、介護予防につながる健康づくりや生きがい、社会参加の機会を作れるわけです。

介護助手の仕事内容

業務は3つのクラスに分けられる

介護助手の仕事内容は、見守りやベッドメイキング、掃除・片付けといった介護職の補助的な業務が中心となります。

なお、業務内容は大きく3つのパターンに分類されます。

1つは一定程度の専門的知識や技術、経験を必要とする業務です。これは認知症の方の見守りや話し相手、趣味活動のサポートなどをする仕事などが該当します。

2つ目は、短期間の研修で習得できる専門的知識や技術が求められる業務です。利用者のADL(日常生活動作)に合わせたベッドメイキングや食事の配膳、利用者への水分補給などの仕事が該当します。

そして3つ目が、マニュアル化やパターン化が簡単で、専門的知識や技術がほとんどない方でも行える業務です。居室の掃除や片づけ、各種備品の準備といった仕事が該当します。

看護助手との違い

看護助手との違い

同じ「助手」という名称の職務に「看護助手」があります。看護助手も無資格で働くことができるので、その点では介護助手と同じです。

しかし、看護助手は検査室やリハビリ室への移送や付き添い、カルテの整理、医療器具の消毒・滅菌、検体の移送など、看護師長や看護職員の指導のもとで医療にかかわる補助業務を行います。

一方、介護助手は介護福祉士など介護職員の指導のもとで業務を行いますので、その点は大きな相違点です。

ホームヘルパーとの違い

ホームヘルパーは有資格者のみ従事でき、実際に要介護者に触れて介助を行う身体介護のサービスを提供できます。そのため、食事や入浴、排泄などの介助をホームヘルパーは行うことができますが、こうした作業は無資格者である介護助手では行えません。また、介護助手は認知症の方への直接対応も禁止されています。

介護助手が従事できるのは、あくまで介護の周辺業務です。業務内容はシンプルで、無資格で専門知識がなくても問題なく行うことができる仕事が多く含まれます。それだけにホームヘルパーよりも就職・転職へのハードルが低く、働きやすいとも言えます。

介護助手の給料相場

介護助手の実賃金(1ヵ月あたり)

厚生労働省の「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果」によれば、介護職員の手当や一時金などを含めた月の平均給与額は下記の表のようになります。

年齢 男性 女性
29歳以下 30.3万円 29.1万円
30~39歳 35.1万円 31.5万円
40~49歳 36.6万円 32.4万円
50~59歳 34.1万円 32.4万円
60歳以上 29.7万円 29.5万円
出典:「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果」(厚生労働省) 時点

上記の給与額は、国家資格である介護福祉士などの有資格者も含めての平均月給ですので、無資格者である介護助手の場合、それよりも数万円ほど低い金額になるとも考えられます。

しかし、介護助手は一般的な介護職員に比べると業務量が少なく、プライベートの時間を確保しながら働きやすいです。

介護助手として働くメリット、デメリット

メリットは何歳でも働けること

メリットは何歳でも働けること

厚生労働省としては、介護助手を元気な高齢者の就労場所として当初は想定していました。高齢者に介護助手として働く場所を用意することで、本人の介護予防にもつなげてもらおうというわけです。

しかし実際には、高齢者のみならず、若い世代からも介護助手という働き方に注目が集まっています。

さらに介護助手の大きな特徴は、無資格でも働けるということ。「資格なしですぐに働ける仕事で頑張っていきたい」という若い世代にとって、介護助手はうってつけの就職場所であるわけです。

デメリットは業務範囲が限られること

介護助手のデメリットとしては、責任の範囲が狭いという点があります。要介護者の身体介護を行う有資格者に比べると周辺業務や雑務が多く、責任を持って大きな仕事に取り組みたいという人にとっては物足りない部分もあるでしょう。

しかし、介護業界で働きたいと望む方すべてが大きな責任を担いたいと望んでいるわけでもありません。大きなプレッシャーやストレスにさらされずに、日々の仕事をコツコツと行いたい方には向いている仕事と言えます。

介護助手の将来性

再就労の機会となり介護予防にも役立つ

介護助手のメリットの1つが、高齢者にとっての再就労の機会になるという点です。高齢者の就労という形での社会参加は、認知症予防や健康維持につながります。

また、働く高齢者自身、将来的に要介護状態となり、今度は自分が介護サービスを受ける側になることもあり得るでしょう。

その際、介護助手として働いた経験があれば、自身が介護サービスを選ぶときの参考にできます。介護助手として働くことで、自分が利用する介護サービスに関する情報収集の場にもなるわけです。

介護助手に向いている人

高齢者の場合、就労を通して社会参加を実現し、自身の健康づくりや生きがいづくりの場を得たいと考えている方は多いでしょう。そうした方にとって、介護助手という働き方は最適です。

実際、行政側としては、元気な高齢者が介護助手として働くことを期待しています。年金にさらに収入をプラスできますし、「まだまだ現役」という健康で意欲的な高齢者の方に向いている仕事です。

また、介護助手はアルバイト・パートとしても働きやすいことから、柔軟に働きたいと望む若い世代にとっても適していると言えます。

例えば子育てや自分の親の介護をしながら働きたいという主婦の方が、空いた時間で介護助手として働くということもできるでしょう。正規の介護職員となるとかなり業務量は多いですが、介護助手であれば、自分の望む時間のみ働くことも可能です。

取得した方が良い介護資格

介護職員初任者研修

介護職員初任者研修

就職時は介護助手という形であっても、就労後に経験を積んで研修に参加し、資格を取得できます。その際、最も基本的な資格として最初に取得できるのが介護職員初任者研修です。

介護職員初任者研修は介護職のスタートラインの資格でもあり、最も取得しやすい介護の資格です。2013年まではホームヘルパー2級と呼ばれていましたが、制度改正により介護職員初任者研修となりました。

合計で130時間の研修を修了し、最後に試験を受けて合格すれば資格取得です。この資格を取得することにより、介護助手では行えなかった身体介護のサービスを提供できるようになります。

介護福祉士実務者研修

介護福祉士実務者研修は、介護職員初任者研修よりもさらに専門性の高い知識やスキルを習得できる資格です。

基本的な介護を提供する能力に加え、医療的ケアに関する知識と技能を学ぶことができます。2012年度からは、実務者研修を修了してさらに「実地研修」を修了した人は医療行為である喀痰吸引を行えるようになりました。

2017年1月の介護福祉士国家試験から、介護福祉士の受験資格を得るには、3年以上の実務経験に加え、実務者研修を修了している必要があります(実務経験ルートの場合)。将来的に介護福祉士の資格を目指すという介護助手にとっては、取得の必要がある資格となっています。

介護福祉士

介護福祉士は介護関連の資格の中で唯一の国家資格です。介護現場で直接介護を行う介護職にとって最上位の資格と言えます。

就職時には無資格の介護助手であっても、将来的にキャリアアップを図り、介護のエキスパートを目指したいという場合、介護福祉士は目標となる資格です。

介護福祉士の受験資格を取得するには、一定期間の実務経験を経て所定の研修を受けるルート、福祉系の学校や養成施設を経るルートなどが複数あります。

介護助手として働く方法

ハローワークで探す

地域ごとに設置されているハローワークで、介護助手の求人を検索できます。介護の業種や条件を絞って検索すれば、希望する施設や雇用形態、仕事内容に合った求人情報をチェックできるでしょう。ただし、求人情報には限りがあります。

ハローワークのメリットは、窓口があって職員に直接相談できるという点です。また、介護分野に絞った会社説明会などが開催されている場合もあり、そうした場は積極的に活用しましょう。

求人情報サイトを検索する

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民間の求人情報誌には、全国規模のものから地域限定のものまで、多様な産業の求人案件が集まっています。出版元のホームページでも求人情報を公開していることもあるので、積極的にチェックしましょう。

介護専門の求人サイトも増えていますので、そちらを利用するのもおすすめです。みんなの介護求人でも無資格・未経験可の全国の求人情報が収集されているほか、エリア別や施設の形態別でも検索できます。

介護助手に限らず介護関係の仕事を探す際にはぜひ活用してみてください。