社会福祉主事はどんな職業?仕事内容から受験資格、就職先までを徹底解説

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社会福祉主事は、自治体の福祉事務所で高齢者や障がい者を支援している職業です。

この記事では、社会福祉主事の役割や他職種との違い、勤務先、具体的な仕事内容、資格の取得方法などについて詳しく解説します。また、社会福祉主事として就職・転職活動を行うときの履歴書・志望動機の書き方もあわせてご紹介するので、これから資格取得を目指す方は参考にしてください。

地域社会の福祉向上を図りたい方や、地域に住む高齢者・障がい者を支えたいと考えている方は、社会福祉主事という働き方をぜひ知っておいてください。

社会福祉主事とは都道府県や市町村の福祉事務所に配置され、社会福祉によるサポートを行う職員

社会福祉主事とは、都道府県あるいは市区町村の福祉事務所に勤務し、地域に住む高齢者や障がい者に対して社会福祉に基づいた支援を行う職員のことです。「主事」とは、公的機関や法人などで設けられている職名の一つを指します。

以下では、社会福祉主事の役割やその法的根拠、ほかの専門職との相違点などについてご紹介します。

社会福祉主事の役割

社会福祉主事の役割は、社会福祉六法に従い、病気や貧困、災害などによって生活に困難が生じている方々をサポートすることです。

具体的には、「ケースワーカーとしてサポートを必要とする人の悩みをヒアリングすること」「医療機関あるいは養護施設などの関係各所と連携しつつ、生活を快適にする手助けを行うこと」などが挙げられます。

ほかにも、生活保護にかかわる業務や、職探しの助言、サポートを必要とする方の自宅訪問などを行うことも多くあります。地域に住む方々の福祉を支える専門職として、多くのシーンで活躍が期待されています。

社会福祉主事の法的根拠

社会福祉主事は、社会福祉法第18条と第19条に基づいて内容が規定されている任用資格です。

任用資格とは、公務員が特定の職務に就く場合に必要となる資格のことを指します。そのため社会福祉主事は、地方公務員が各自治体に設置されている福祉事務所のケースワーカーとして任用されるうえで、必要となる資格なのです。各種社会福祉施設の職種が取得すべき基礎的な資格としても、適用されています。

他職種との違い

社会福祉士との違い

社会福祉士と社会福祉主事の最大の違いは、資格の種類です。社会福祉士は国家資格であり、社会福祉分野全体に関する相談業務を担うので、公務員をはじめ、福祉施設や病院など幅広い分野でニーズがあります。

一方、社会福祉主事は、公務員が福祉事務所の職員として任用される場合に要求される「任用資格」です。任用資格は、取得するだけでは職業として成立せず、当該の職に任用されて初めて効力を持ちます。

つまり、任用資格である社会福祉主事は、公務員試験を受験して自治体に採用され、その後に社会福祉主事に任命されることで、はじめて「社会福祉主事」という名称で就労できるのです。

介護福祉士との違い

介護福祉士は、利用者への身体介護や生活援助、レクリエーション、利用者の家族への相談や助言、職場の介護職員へのマネジメントなどが主な仕事内容です。

職場としては、特別養護老人ホームや介護老人保健施設、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、グループホーム、通所介護事業所などがあります。現場で経験を積んだ後で、介護福祉士養成校の教官・講師として活躍する方も多くいます。

介護福祉士は社会福祉士などと同じく国家資格であり、公務員を対象とした任用資格である社会福祉主事とはまったく別の資格です。

ケアマネジャー(介護支援専門員)との違い

ケアマネジャー

ケアマネジャーとは、介護保険法に基づいて、要介護認定を受けた方が利用する介護サービスの利用計画を考え、介護を受けるための環境を整える専門職です。

そのため、ケアマネジャーは介護保険サービスにおいて欠かせない専門職です。就労するには「介護支援専門員実務者研修受講試験」に合格する必要があります。

ただし、任用資格である社会福祉主事とは異なり、資格取得は公務員でなくとも挑戦することが可能です。資格取得後は居宅介護支援事業所をはじめ、介護施設や介護事業所で窓口業務あるいは相談業務を担い、必要に応じて医療機関などとの連携も行います。

医療ソーシャルワーカーとの違い

医療ソーシャルワーカーは、医療機関などで勤務する福祉の専門職です。入院をすると、患者本人やその家族は経済面や精神面で悩みを抱えやすくなります。また、退院後の自宅での生活に不安を感じる方も多くいます。そうした方々に対して、地域で利用できる公的サービスや支援制度などの社会資源の活用を促します。

具体的な業務内容としては、「入院時に心身状態にあった部屋を調整する」「退院日時を調整する」「在宅復帰後に生活しやすいように自宅の改修や生活様式の提案を行う」といったものが挙げられます。

ただし「医療ソーシャルワーカー」という名称の資格はありません。その点、任用資格である社会福祉主事とは大きく違います。しかし実際には、精神保健福祉士もしくは社会福祉士の有資格者が医療ソーシャルワーカーとして働くのが一般的です。また、社会福祉主事のように公務員である必要はなく、公務員以外の方でも働くことができます。

看護師、保健師との違い

保健師は地域住民の保健指導および健康管理を行う専門職です。各自治体内にある保健所や健康に関連した部署で保健師として働くには、「保健師国家試験」に合格しなければなりません。

なお、試験の受験資格を得るには、「看護師資格」も必要です。そのため、専門学校や大学の中には、看護師と保健師あるいは助産師の受験資格を同時に得られるカリキュラムを組んでいるところも多くみられます。

保健師や看護師は国家試験に合格する必要がありますが、公務員でなくても受験が可能です。その点が、任用資格の社会福祉主事とは大きく異なります。

社会福祉主事が働く場所

福祉事務所

福祉事務所

社会福祉主事は公務員の任用資格であるため、職場は地域内の各種福祉事務所や相談所です。基本的には社会福祉事務所などで生活保護を担当しますが、福祉六法に基づいた各種福祉施設で勤務するケースも多く見受けられます。

福祉事務所であれば、現業員(家庭訪問、生活指導、面談などを行う職員)やスーパーバイザー、家庭児童福祉主事、老人福祉指導主事、家庭相談員、母子自立支援員として働くのが一般的です。一方、各種相談所の場合は、知的障がい者福祉司、身体障がい者福祉司として働きます。

そのほかにも行政機関では児童福祉司として働くことができます。社会福祉施設では、施設長や生活指導員として勤務することが多くなっています。

地域包括支援センター

地域包括支援センターも社会福祉主事が働く職場のひとつです。制度上、地域包括支援センターの人員基準として、次のことが規定されています。

  1. 65歳以上の高齢者3,000人~6,000人ごとに、保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員をそれぞれ最低でも1名配置すること(小規模な市町村の場合は、例外措置もあり)
  2. 保健師、介護支援専門員、社会福祉士、実務経験のある看護師、3年以上実務経験のある社会福祉主事のうちから「必要な数」を配置すること

なお、書類の整理や報酬請求などの事務作業は、専門職種でなくとも行うことができます。

社会福祉主事の仕事内容

ケースワーカー(現業員)の場合

ケースワーカー(現業員)

ケースワーカー(現業員)とは、福祉事務所にやってきた人への対応、相談を行い、生活を立て直せるようにサポートを行う専門職です。

例えば、生活保護を望む人が来訪した場合、面接を行って現状を把握し、各種社会資源・医療機関などの調整を行います。生活保護費の受給希望者への対応は、ケースワーカーの重要な役割のひとつです。

そのほか、「面接・訪問によって把握した生活状況を記録に残す」「生活をサポートするために必要な情報を提供する」といったことも担当します。

生活保護業務に従事することもある

ケースワーカーは、公的機関または医療機関などで、福祉分野で住民からの相談に応じ、援助方法を考える職員の一般的な呼称です。

生活保護の現場においては、生活困窮者の相談に乗り、生活保護申請者の調査や生活保護受給者への対応を行う人をケースワーカーと呼んでいます。

法律上では、生活保護業務に従事するケースワーカーは社会福祉主事であることが必要です。

スーパーバイザー(査察指導員)の場合

スーパーバイザー(査察指導員)とは、福祉事務所に所属するケースワーカーを指導、監督する職員のことです。

ケースワーカーは、サポートを必要とする人にあわせた多様な対応が求められます。そのため、経験の浅いケースワーカーの場合、自分が行う判断に迷ってしまうことや、相談者との人間関係で葛藤に悩むことも多いようです。その場合、スーパーバイザーは自分の経験を基に適切な指導やアドバイスを行います。

生活保護にかかわる業務の現場においては、手続きをスムーズに行うための進行管理など、スーパーバイザーが大きな役割を果たしています。

生活相談員の場合

生活相談員は、特別養護老人ホームやデイサービスなどで、利用者本人とその家族への相談業務、施設にかかわる各種手続き、地域コミュニティとの連携など、多様な調整業務に従事する専門職です。一般的にはソーシャルワーカーとも呼ばれています。

具体的な仕事内容としては、施設の入退所の手続きや介護サービス利用の開始と中止にかかわる業務、利用者とその家族への相談援助、ケアマネジャーや地域内の諸機関との調整業務、施設内の調整業務、介護職員へのサポート、利用者とその家族からの苦情対応、デイサービスなどでの個別援助計画の作成、ケアプラン作成の支援などです。

生活相談員として勤務するには、「社会福祉士」「精神保健福祉士」「社会福祉主事」のいずれかの資格を保有していることが必要です。社会福祉主事の資格を活用できる仕事のひとつです。

社会福祉主事になるには民間資格の社会福祉主事任用資格を取得して、公務員試験に合格する必要がある

受験資格、申し込み

社会福祉主事の資格は、取得のために試験を受ける必要はありません。所定の講習を受ける、もしくは養成機関や大学などで授業を受けることで得ることができます。

すでに就労している方が社会福祉主事の資格を取得しようとする場合、通信制の大学などを利用する方法もあります。インターネット上で質問なども行えますので、働きながらでも取得しやすい資格です。

なお、社会福祉主事は公務員を対象とした任用資格であるため、公務員試験に合格することが前提です。

資格の要件

資格の要件

大学・短期大学などで指定科目を3科目以上履修して卒業

大学もしくは短期大学などで、厚生労働大臣が指定する科目を3つ以上履修して卒業すれば、社会福祉主事任用資格を取得できます。

ただし、指定科目は時代に応じて変わるため、履修科目が卒業年度において指定科目になっているかどうか確認することが必要です。

社会福祉主事任用資格は認定証などがありません。そのため、任用資格を満たしているかどうかは、大学が発行する成績証明書もしくは卒業証明書で証明する必要があります。大学の中には独自の履修証明書を発行していることもあるので、事前に確認しておきましょう。

所定の学校の通信課程を修了

就業中の方が大学に通う負担は大きなものです。特に、昼間の通学は、正社員としてフルタイムで勤務している方にとっては困難です。

そうした方におすすめなのが、通信講座です。社会福祉主事は、全社協中央福祉学院社会福祉主事資格認定通信課程、あるいは日本社会事業大学通信教育科の通信課程で1年間学習することで取得できます。民間の社会福祉事業に従事している人を対象とした講座なので、働きながらでも資格取得を目指せます。

スクーリング(面接授業)期間は5日間

通信講座でも、スクーリング(対面授業)への参加が必要です。

日本社会事業大学通信教育科では、5日間のスクーリング(対面授業)に、土日祝日で参加することが可能。働いている人でも休暇を取らずに受講することができます。

指定養成機関を修了

ここでいう「指定養成機関」とは専門学校のことです。社会福祉関連の学科を設けている専門学校でも、社会福祉主事の資格を取得することができます。

全国で指定養成機関として定められている専門学校は全部37校です(2019年時点)。介護やソーシャルワークにかかわる学科を設けている学校が指定対象となっています。

専門学校で学ぶ場合、合計22科目を1,500時間以上かけて学ぶ必要があるため、2~4年課程が多くなっています。

都道府県等講習会を受講

都道府県または市区町村の職員で、社会福祉事業に携わっている場合、都道府県などが行っている社会福祉主事認定講習を受講することで資格を取得できます。これは、民間の社会福祉施設に出向する公務員も対象となっています。

すでに地方公務員として勤務している場合、異動により社会福祉主事資格を取得しないまま、社会福祉に従事するケースも生じます。そうした場合、都道府県等講習会を受講することでなるべく早く資格を取得することができます。

社会福祉士もしくは精神保健福祉士の国家資格を保有

社会福祉士あるいは精神保健福祉士の資格を取得している場合は、講座などを受けることなく、社会福祉主事任用資格を取得できます。

社会福祉士または精神保健福祉士が公務員試験に合格して地方自治体に就職し、福祉事務所などに配属された場合は、すぐに社会福祉主事としてケースワーカーもしくはスーパーバイザーの業務を行えるわけです。

受講期間、費用

社会福祉主事の資格を取得するためにかかる費用は、中央福祉学院の通信講座だと、テキスト代や教材費、スクーリングの授業料込みで8万9,000円です。(2021年4月時点)

なお、スクーリングに出席したときの交通費や宿泊費、食費などは含まれません。受講期間は1年間です。大学や専門学校に入学し、そこで資格取得に必要なカリキュラムを取得するという場合は、一般の学生同様の学費がかかります。

資格・試験の難易度

社会福祉主事資格は試験がなく、所定のカリキュラムを履修することで取得できます。試験に合格しなくても取得できるため、難易度は低いと言えます。

ただし、通学あるいは通信講座により、必要な学習内容を修了する必要があるため、時間と費用がかかります。

働きながら資格取得を目指す場合は心身への負担が高まるので、そうした点での大変さ、難しさはあるでしょう。

資格証明書の有無

社会福祉主事任用資格には、国または地方自治体が発行する資格証明書などはありません。

資格を取得できる大学の中には、学生向けのサービスとして、指定科目を取得したことのみを証明する履修証明書を発行しているところもあります。

大学で社会福祉主事の資格を取得している場合は、卒業した大学で履修証明書を発行しているのかどうか、確認してみるとよいでしょう。

資格を取得するメリット

社会福祉主事は、公務員として福祉事務所や各種相談所で働きたいという場合に必要な資格です。

もちろん、福祉に関する一定の専門知識を持つことを証明する資格でもあります。そのため、老人ホームなどの相談員として就職・転職活動をする際のアピールポイントになるというメリットもあります。

社会福祉主事の給料・年収

保有資格ごとの平均給与額(1ヵ月あたり)

社会福祉主事は、都道府県や市区町村で一般職あるいは福祉職として採用されます。そのため、給与は公務員給与規定に則った額です。

総務省が公表している「平成30年地方公務員給与実態調査の状況」によると、平均年収は一般行政職で約441万円、福祉職で約445万円となっています。

給料について詳しく知りたい方は、「介護系職種の給料を徹底解説!年齢別平均や給料アップのポイントは?」をご参照ください。

異業種から社会福祉主事への転職を成功させる方法

求人・就職状況・需要

求人・就職状況・需要

現在、日本では非正規雇用の増加、児童虐待、社会の高齢化などの問題が深刻化しています。そのため、社会福祉制度は今後さらに高度化されていくとみられています。それに伴い、社会福祉主事が果たす役割も重要となっていくでしょう。

また、近年は貧困による生活保護の受給世帯が右肩上がりという状況です。生活保護受給にかかわる業務を行う社会福祉主事へのニーズは、将来的にも高まっていくことが予想されます。

介護施設や介護事業所なども含め、多くの分野において将来性のある資格なのです。

履歴書の書き方

履歴書は就職や転職を行う際の自分の顔ですので、所定の書式に従いながら、ミスなく書くことが大切です。

履歴書に書く日付は、郵送日または持参する日を記載するのが原則。氏名は戸籍の漢字の通りに楷書体で丁寧に書きましょう。住所欄は都道府県から記入し、番地なども略さずに記入します。

学歴は中学校卒業または高校入学から記載するのがルールです。略字などは書かずに、高校ではなく高等学校と書きましょう。職歴についても、勤務したことのある会社名は(株)や(有)などとせずに、「株式会社」「有限会社」と正式に記載します。

趣味や特技は面接で話題となることも多いので、無理なく自然に話せる内容を記入しておきましょう。

魅力的な志望動機の書き方

志望動機を書くうえで大事なのは、なぜその仕事、勤務先を選んだのかをわかりやすく説明することです。その際、自分の体験談を書くと説得力が増します。過去に経験したことを基に志望理由を書くことで説得力が高まり、採用担当官へのアピールになります。

また、志望動機欄は必ず8割以上を埋めましょう。空欄が目立つようだと印象が悪くなってしまいます。ありきたりな定型文や美文を用いることなく、自分の言葉で欄全体が文字で埋まるように記入しましょう。

面接での留意点

面接での留意点

面接を受ける際は、スーツ着用が原則です。応募先によってはカジュアルな服装で問題ないこともありますが、服装に迷う場合は、スーツを着ていくのが無難です。また、私服で構いませんとの連絡があった場合でも、デニムやサンダルなどは先方に失礼ですので控えましょう。

また、面接を受ける際は香りの強いメイクや香水は避けましょう。アクセサリーを身につけているときは、面接前に外しておきます。

さらに清潔感を出すことも重要です。スーツを着用しても、上着やシャツがシワだらけだと印象が悪くなります。整った服装で面接にのぞむことが大切です。

社会福祉主事に向いている人、必要な知識・スキル

社会福祉主事は、経済面、生活環境などに問題を抱え、社会的に弱い立場に置かれている人と多く接します。そうした方々としっかりと意思疎通を図っていくには、一定のコミュニケーション能力が欠かせません。人の世話をするのが好きな方、細かい気配りができる方に向いています。

業務を行うにあたっては、相手を見下すような態度をとる、あるいは偏見を持って相手を判断することは許されません。相手の立場にたち、気持ちに寄り添った対応が必要です。

しかし、過剰なまでに親身になり、感情に流された判断をすることも厳禁です。冷静かつ客観的に相談者の状況を把握し、落ち着いて物ごとを考える力も求められます。