【平均給料一覧】介護職の給料に関する全知識

介護施設にはさまざまな職種のスタッフが働いています。それぞれの給料相場がどのくらいなのか詳しく見ていきましょう。賃金形態別の給料相場から初任給、資格・職種別の相場や介護サービスごとの違いについても徹底解説。

介護業界の給料相場

介護職とひと括りに言っても、職種や年齢、立場によって給料はさまざま。
まずは介護業界の基礎的な給料データから見ていきましょう。

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一人前の介護職員を目指して頑張ります!
でも、就職活動を始める前に、介護系職種がどれくらいのお給料なのか知っておきたいです。
キャリアアドバイザー長内
はい!介護施設にはさまざまなスタッフが働いていますから、それぞれの職種によって給料相場は変わってきますよ。
まずは、給料の基本である「初任給」や「手取り」について知っておきましょう。
キャリアアドバイザー”長内”キャリア
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長内
 

「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、2021年の介護職員の平均給与額は次の通りでした。

給与形態/雇用形態別の介護職平均給与
給与形態 雇用形態 平均給与額
月給 常勤 31万6,610円
月給 非常勤 19万8,520円
日給 常勤 22万3,880円
日給 非常勤 15万7,990円
時給 非常勤 11万3,490円

一般的な介護職員の月収の相場は16万円~30万円ほど、年収の相場は240万円~350万円ほどです。また、パートの場合の時給の相場は800円~1,500円ほどです。

介護業界の給料額は働く施設の種類や規模の大きさ、地域、保有資格によっても大きく異なってきます。

介護職員の初任給

介護職員の月収・年収のイメージイラスト

少々古いデータですが「平成29年度 介護従事者処遇状況等調査結果」によると、2017年の介護職員全体の初任給の平均額は23万2,460円でした。

介護職員の初任給
給与額 23万2,460円

介護職員が働く場所として、さまざまな種類の介護施設がありますが、平均給料と同様に初任給も働く施設によって変動します。また、保有資格によって手当などが付くことがあるため、資格の有無も初任給に影響します。

同調査では、介護老人保健施設(老健)は24万2,690円、通所介護事業所(デイサービス)は21万340円で、これら2種類の施設の平均初任給を比較しても、3万円ほどの差が出ていることがわかります。

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手取りは額面給料の7~8割

会社員などが月給をもらう場合、「額面」と「手取り」という言い方をよくします。「額面」とは「額面給料」とも呼ばれていて、基本給に各種手当がプラスされた総支給額のことです。

一方、「手取り」とは「総支給額=額面給料」から源泉徴収で差し引かれる控除金額(税金や社会保険料など)を計算したあと、実際に給料振込される金額を指します。
年収300~400万円台の方の場合、手取りの金額は額面給料の70%〜80%になります。

年齢・男女別の平均給料

以下のグラフは「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」を元に介護職員の年齢、男女ごとの平均給料額の推移を表したものです。

介護士の年齢、男女ごとの平均月収グラフ

このグラフを表にすると以下のようになります。

男女別/勤続年数別の平均給与
年齢 男性 女性
29歳以下 29万9,940円 29万0,580円
30~39歳 34万5,790円 31万1,070円
40~49歳 36万1,170円 31万8,020円
50~59歳 34万0,590円 32万2,860円
60歳以上 29万9,140円 30万0,920円
出典:「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」(厚生労働省)

男女別では男性の方が約3万円ほど高い傾向にあります。なお、年齢別では30代や40代で特に差が広がっています。

ちなみに全年齢で算出した介護職員の平均給与は、男性33万5460円、女性30万6590円でした。

勤続年数ごとの平均月収

『令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果』によると、介護職員の勤続年数と平均月収には一定の比例関係を読み取ることができます。

具体的な平均給与額の数値を紹介すると、勤続年数1年(12ヵ月~1年11ヵ月)は28万0,870円、勤続年数3年だと30万6,620円、勤続年数5年だと31万5,480円、勤続年数10年では32万2,960円です。

介護職員全体の勤続年数ごとの平均月収

全体的な傾向をまとめると、勤続5~6年目までは年1万円ほど増加を続け、その後安定しています。

介護職の生涯年収

介護職が一生の間に稼ぐ収入はどれくらいになるのでしょうか。

厚生労働省が公表している「令和2年度賃金構造基本統計調査」を基に計算してみましょう。

介護職員(医療・福祉施設等)の場合、仮に20歳で就職し65歳で退職したとすると、生涯年収は1億3,867万円になります。

都道府県別の平均給料

介護職の給料は地域によって大きな差があり、首都圏が高く地方では低い傾向にあります。
介護報酬は地域ごとに8段階の加算率が設定されており、この加算率は全国の平均賃金を基に算出されます。
平均賃金と連動して介護職の賃金も都心部と地方で差が生じています。

給料相場の高い都道府県TOP3

1位 東京都 400万円、2位 京都 399万円、3位 神奈川県 391万円となっており、関東・関西圏の都府県が上位を占めています。

給料相場の低い都道府県TOP3

1位 沖縄県 292万円、2位 宮崎県 300万円、3位 島根県 302万円となっており、1位と47位では100万円以上の開きがありました。

しかし、中央値を見ると339万円となっており、都心部が突出して高い傾向があります。

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人気職種の雇用形態別の平均給料

キャリアアドバイザー長内
続けて、各資格・職種の雇用形態別の給料相場についても見ていきましょう。
キャリアアドバイザー”長内”キャリア
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長内
資格職種/雇用形態別の平均給与
資格・職種名 雇用形態
正社員
(月給)
契約社員
(月給)
パート・
アルバイト
(時給)
介護職 介護福祉士   19.7~
23.8万円
17.7~
20.4万円
1,067~
1,251円
介護職員
初任者研修
18.6~
22.7万円
17.1~
19.5万円
1,075~
1,283円
介護福祉士実務者研修 19.6~
23.3万円
17.7~
20.4万円
1,099~
1,321円
ケアマネージャー 21.8~
25.9万円
20.8~
23.9万円
1,247~
1,403円
看護師 准看護師 21.7~
26.8万円
20.6~
24.1万円
1,347~
1,536円
ソーシャル
ワーカー
社会福祉士 20.5~
25.1万円
19.3~
22.0万円
1,121~
1,262円
リハビリ
専門職
理学療法士 23.5~
28.5万円
22,2~
26,0万円
1,535~
1,774円
出典:「みんなの介護求人」掲載の求人情報を基に算出
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あれ、さっき見たデータは30万円前後だったけど、このデータは20万円前後の金額が多いのはなぜでしょうか?
キャリアアドバイザー長内
みんなの介護求人のデータは、求人票に載っているデータを基にしています。つまり働き始める時の給料金額です。厚生労働省のデータは長く働いて昇給を重ねた人のデータも含めた平均値なので、差が出ているんです。
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そうだったんですね。納得です。ところで契約社員と正社員では1割近い差がありますね。
キャリアアドバイザー長内
そうなんです。未経験の方が正社員での採用をめざすなら、介護職員初任者研修などの資格をとって、PRできるポイントを増やしていくとよいですよ。
キャリアアドバイザー”長内”キャリア
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正社員の給料

介護福祉士を例にとってみてみると、正社員の場合19.7~23.8万円となっています。

正社員は長期的に安定して働ける点が魅力です。
また、毎月の給与以外に賞与や退職金が支給されるほか、福利厚生や研修制度も整い、昇給・昇進制度も整備されていることが多く、非正規職員に比べると待遇・教育面が充実しています。

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契約社員の給料

契約社員では17.7~20.4万円です。

契約社員は給与額や福利厚生が正社員に近い一方で、残業や転勤などがほぼないので、プライベートと仕事の両立がしやすい点が魅力です。

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パートアルバイトの給料

有資格者ということもあり一般的な仕事よりも給与額は高めです。
平均時給は1,067~1,251円です。

パート・アルバイトで働くことの最大の利点は、働く日時を自分で自由に決めることができる点です。
「平日の午前中だけ働く」「週末は家族との時間を過ごしたいから休みたい」など、自分の都合に合わせた働き方が可能です。

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【一覧】資格・職種別の平均給料

キャリアアドバイザー長内
続けて、介護系の中でも特に人気な資格・職種の給料相場を見ていきましょう。
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介護の資格・職種の月給給与相場

出典:「みんなの介護求人」掲載の求人情報を基に算出
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「理学療法士」や「看護師」の給料が高いのはなぜでしょうか?
キャリアアドバイザー長内
「理学療法士」や「看護師」は、資格取得までに福士系大学などを卒業する必要があります。
資格取得までが難しいので、その分給料相場も高水準となっている傾向がありますよ。
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資格取得までに費用と期間がかかるからなんですね!納得です!
…というと、未経験でもなれる職種はお給料が低いのでしょうか?
キャリアアドバイザー長内
いえ、そんなことありませんよ!
技術を磨けば「介護施設管理者」や「サービス提供責任者」といった職務につくことで給料は上がります。

介護業界の場合、一般職員と管理職の間には、年収換算で約180万円も開きがあると言われているんです!
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180万円も!?管理職を目指して頑張ります!

資格・職種別の給料ランキングTOP5

キャリアアドバイザー長内
続いて「みんなの介護求人」に載っている求人から、給料相場の高い資格・職種TOP5をみてみましょう。
上位5職種は次の通りでした。
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資格・職種別の給料ランキングTOP5
順位 職種 平均給与額
1 介護施設管理者 27万4,431円
2 言語聴覚士 26万4,114円
3 保健師 26万2,908円
4 主任ケアマネージャー 26万746円
5 理学療法士 26万429円
出典:「みんなの介護求人」掲載の求人情報を基に算出
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1位と5位を比べただけでも、1万円以上の差があるんですね!
キャリアアドバイザー長内
こちらはあくまで平均で、介護職員の給料は働く施設の種類によっても変動します。
例えば介護老人福祉施設や介護老人保健施設の方が、ほかの施設よりも平均給料額が高い傾向がありますよ。
また、働く地域や規模の大きさ、保有資格によっても給料が大きく異なる場合があります。
キャリアアドバイザー”長内”キャリア
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このデータを参考に、自分の希望する諸条件と照らし合わせて求人を見ていく必要がありますね。

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人気資格・職種の月給

続いて厚生労働省が発表している資料をもとに、資格・職種ごとの平均月給を紹介していきます

介護福祉士

介護職員の月収・年収のイメージイラスト

厚生労働省の「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、平均月給は月給・常勤の者が32万8,720円、日給の者は155,030円、時間給の者は128,320円となっています。

集計対象の資格保有者数は21,125人でした。後述する他の介護職と比べると、非常に保有者数の多い資格です。

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介護職員初任者研修

厚生労働省の「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、平均月給は月給・常勤の者が30万0,510円、日給の者159,720円、時間給の者は106,010円となっています。

集計対象の資格保有者数は8,397人でした。

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介護福祉士実務者研修

厚生労働省の「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、平均月給は月給・常勤の者が30万7,330円、日給の者は174,360円、時間給の者は 110,400円となっています。

集計対象の資格保有者数は2,471人と少なく、介護福祉士の10分の1程度となっています。「介護福祉士実務者研修」で満足せずに「介護福祉士」の資格取得まで進んでいる方が多いことが読み取れます。

キャリアアップを目指して頑張る人が多い業界と読み取ることもできますね。

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ケアマネージャー

厚生労働省の「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、平均月給は月給・常勤の者が36万2,290円、日給の者は該当者なし、時間給の者は 123,820円となっています。

集計対象の資格保有者数は1,509人でした。

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看護師

厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、平均年収は498.6万円となっています。病院勤務の看護師のデータも含むほか、夜勤の有無、勤務する都道府県によっても大きく異なります。

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准看護師

厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査」によると平均年収は406.7万円、月給は28.7万円となっています。年齢による振れ幅が大きく、20代平均は300万円ほどですが、50代後半では450万円ほどになります。

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社会福祉士

厚生労働省の「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、平均月給は月給・常勤の者が 36万3,480円、日給の者は該当者なし、時間給の者は126,100円となっています。

集計対象の資格保有者数は333人でした。

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理学療法士

厚生労働省の「令和2年賃金構造基本統計調査」によると平均年収は418.9万円となっています。20代30代全体の8割近くをしめており、若い層が多い専門職といえるでしょう。

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【一覧】介護サービスの種類別の平均給料

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介護サービスの種類別の給料TOP5

キャリアアドバイザー長内
続いては、介護サービスの種類別での給料相場が高いTOP5!
「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、2021年の介護職員の平均給与額は次の通りでした。
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長内
  2022年10月24日
順位 施設名 平均給与額(常勤)
1 特別養護老人ホーム 34万5,720円
2 介護老人保健施設 33万9,390円
4 訪問介護 32万4,690円
3 特定施設入居者生活介護 32万3,660円
5 介護療養型医療施設 31万7,040円
出典:「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」(厚生労働省)
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働く施設が変わるだけで、こんなに平均が変わってくるんですね!
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そうなんです。夜勤のある勤務先だと夜勤手当がつくので、金額は上がりやすくなります。また、保有資格によっては手当が付くので、資格の有無も給料に影響してきます。
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介護サービスの種類別の月給

キャリアアドバイザー長内
続けて、介護サービスの種類別に月給の違いを見ていきましょう。
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介護サービスの種類 就業形態(月給)
常勤 非常勤
特別養護老人ホーム 34万5,720円 19万6,970円
介護老人保健施設 33万9,390円 28万6,970円
介護療養型医療施設 31万7,040円 -
訪問介護 32万4,690円 21万4,450円
デイサービス 28万8,880円 17万0,780円
特定施設入居者生活介護 32万3,660円 23万0,500円
グループホーム 29万6,180円 19万4,540円
出典:「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」(厚生労働省)
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介護サービスが違うだけで、こんなに月給に違いが出るんですね。
キャリアアドバイザー長内
常勤だけでなく、非常勤の場合でも老健は高い水準となっていますよ。
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施設サービスの給料

ここからは各サービスごとの概要と、平均給与についてみていきましょう。まずは施設で提供するサービスから。

特別養護老人ホーム

社会福祉法人や地方自治体が運営している特別養護老人ホーム。利用者からは比較的低料金で手厚いサポートが受けられるので、人気がある施設です。

厚生労働省の「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると特別養護老人ホームの平均給与は 34万5,590円となっています。

平均年収は約410万円で、介護事業所の中で最も高い給料相場となっているため、魅力的です。

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介護老人保健施設

介護老人保健施設(老健)は、「病院から退院してすぐに自宅での生活に戻るのは不安…」という方が、リハビリに取り組んで在宅復帰を目指すための施設です。

厚生労働省の「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると介護老人保健施設の平均給与は 33万8,390円となっています。

年収ベースで平均約392万円です。

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介護療養型医療施設

病院に併設されていることが多く、運営元も医療法人であることが多い介護療養型医療施設(療養病床)。

厚生労働省の「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると介護療養型医療施設の介護職の平均給与は 28万7,070円となっています。

年収は平均約377万円。一般に、地方よりは都会、規模が小さい施設よりは大きい施設のほうが高い傾向があります。

ちなみに、より生活の場としての機能を充実させた施設である介護医療院が登場したことで、介護療養型医療施設は2012年以降新設されていません。現在、経過措置・移行期間が2024年3月31日までと定められており、それまでに介護医療院に転換されていく予定です。

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グループホーム

認知症の高齢者が、専門スタッフの援助を受けつつ5人から9人のユニットで共同生活する介護福祉施設「グループホーム」。

厚生労働省の「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」によるとグループホーム(認知症対応型共同生活介護事業所)の平均給与は29万1,460円となっています。

デイサービスよりはやや高いものの、介護老人福祉施設や介護老人保健施設、訪問介護事業所などと比べると、やや低い傾向があります。

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特定施設入居者生活介護

特定施設入居者生活介護とは、行政によって定められた基準をクリアした施設のこと。
行政に認められるレベルの設備、運営基準などがなければ、特定施設入居者生活介護の施設を名乗ることができません。

特定施設入居者生活介護の介護職員の給料相場は、常勤の場合で月収32.2万円になります。

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施設サービス以外の給料

続いて施設サービス以外のサービスについても見ていきます。

デイサービス

介護職員の月収・年収のイメージイラスト

デイサービス事業所に通い、入浴や食事、そのほか日常生活の介護を受けられるデイサービス。

厚生労働省の「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」によるとデイサービス(通所介護事業所)の平均給与は 27万8,180円となっています。

また、パートの時給は1,000円から1,600円前後が相場です。

デイサービスの施設の規模やエリア、年齢や経験などによって給料は異なります。また、給料には基本給のほか各種手当、ボーナスも含まれるので、実際の手取りは先ほど紹介した相場の8割程度です。

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訪問介護

介護士などの資格を取得したプロを自宅に招き、各種サービスを受ける訪問介護。

厚生労働省の「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると訪問介護事業所の平均給与は 31万4,590円となっています。

こちらの給料についても、勤務先の規模や種類によって差があります。

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介護職の給料が上がる可能性

ここまで介護職の給与について見てきましたが、今後介護職の給与はこの先あがっていくのか。気になるところですよね。

介護職の給料は低いのか

実際のデータを確認すると、「介護職=給料が安い」といった一般的なイメージとちがって、それなりの待遇を得ていることがわかります。

しかし、身体的にも精神的にもハードな介護職の仕事内容から考えると、低いと感じるかもしれません。なぜ介護職の給料はアップしづらいのでしょうか。

介護報酬が一定のため上がりにくい

介護施設や事業所は介護報酬を収入源として職員への給料を支払っています。原資である介護報酬の金額は国が定めており、自由に設定することができません。

そのため、介護施設は収入を大きく増やすことが難しく、給料も上がりにくい構造になっているのです。

介護職の給料アップは国策

介護人材の不足が社会問題となって以来、介護職の賃金アップは国や介護業界が推進しているテーマのひとつです。

岸田政権が掲げる「新しい資本主義の実現」の政策目標のなかにも、介護職の待遇改善が公約となっており、具体的に以下のような施策に取り組んでいます。

ベースアップ等支援加算

2022年2月から9月にかけて、介護職の給料を現在の収入から3%程度引き上げる措置が実施さ話題になりました。

月額ベースで9,000円となります。2022年10月以降も介護職の給与を継続的に底上げする目的で、ベースアップ等支援加算制度が創設されました。引き続き月給ベースで約9,000円、収入を約3%アップすることを目指します。

なお、ベースアップ等支援加算は、加算総額の3分の2以上を基本給、または毎月固定で支払われる手当として給与に反映することが定められています。

特定処遇改善加算手当

ベースアップ等支援加算のほかにも、介護人材の確保のため、国はさまざまな待遇改善の制度を整備してきました。

2019年10月に創設された「特定処遇改善加算手当」もその一つです。勤続10年以上のキャリアがある介護福祉士の給料を約8万円アップする制度です。

施設側が一定の条件をクリアした場合に介護報酬として請求できるため、介護職と事業所にそれぞれ効果のある施策といえます。

介護人材の慢性的な不足は社会問題でもあり、国や介護業界ではさらなる待遇改善を目指して制度の拡充を続けることが期待されています。

8年間で13%上昇した実績もある

介護人材の確保のためのさまざまな政策が続けられるなか、ここ最近の介護職の給与は上昇傾向が続いています。2012年の介護職の平均年収は約310万円でしたが2019年には約350万円になっており、8年で13%アップしています。

介護事業所は人材の確保が大きな課題となっている今、売り手市場の介護業界では今後も給与アップが期待されています。

介護職の給料については、介護施設での勤務経験のある芸人『オカリナさん』と学ぶ連載企画「カイゴのおカネクラブ」で、時事的な内容も含めて詳しく取り上げているので、気になる方はぜひご覧ください。

介護職員が給料を上げる方法

介護職員が給料を上げられるポイントのイメージイラスト

介護職員が、給料をアップさせるための代表的な方法は、「資格を取得する」「管理職などの役職にキャリアアップする」「転職する」の3つがあります。

それぞれの方法について、具体的に解説していきます。

資格を取得する

介護福祉士を目指す

介護職員初任者研修は、介護職員として働くうえでの最も基本となる資格で、取得者も多いため、これだけでは大幅な給料アップは期待できません。そこで、介護関連のほかの資格取得がおすすめです。

とくに、実務経験後に介護福祉士の資格を取得することをおすすめします。

資格取得の手順として、介護職員初任者研修終了後、3年以上の実務経験(3年以上介護事業所に就業して従事日数が540日を超える)ののちに、450時間の実務者研修を受講すれば、介護福祉士国家試験の受験資格が得られます。この試験に合格すれば介護福祉士になれるのです。

介護福祉士は国家資格なので、これを取得しているだけでもスキルが証明でき、資格手当が付くことも少なくありません。

取得が簡単な資格ではありませんが、経験を積んで専門知識を身につけていることを証明できるので、全国どこででも通用する人材として給料アップを望めます。

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実際の介護現場で「介護する人」の中には、さまざまな資格を持つ人や職種の人が連携して支援を行っています。 それぞれの人が、それぞれの役割を果たすことで、介護を必要とする人に適切な介護サービスを提供することができるのです。 この記事では、介護の世界にはどんな資格や職種があって、どうすれば資格を取得できるのか、また、どういった業務を担当する職種かを解説します。

期間内に介護福祉士国家資格試験の受験申し込みをする

介護福祉士の国家資格を取得するためには、試験を受験し合格しなければなりません。

介護福祉士国家試験の受験申し込み時期は例年8月上旬から9月上旬までとなっているので、受験を考えている方は詳細を確認しておきましょう。

試験対策にお困りの方は『ケアスタディ』がおすすめ

試験対策に悩んでいる方や過去問選びで困っている方は、介護福祉士国家試験対策アプリ「ケアスタディ」をご活用ください。

過去6年分の問題を完全無料で解けるため、苦手な科目を効率的に学ぶことができます。

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ケアマネージャーを目指す

給料をアップさせたい方は、将来的にケアマネージャーを目指すこともおすすめです。

高齢者やその家族の相談を受けケアプランの作成などを行うケアマネージャーは、介護福祉士よりもさらに上の給料相場になります。

また、ケアマネージャーは要介護者の体に触れるといった直接介護は行わず、ケアプランの作成や給付管理が主な業務になるため、体が肉体的に衰えても介護の仕事を続けやすいといった利点があります。

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ケアマネージャーの給料相場はどのくらいなのか詳しく見ていきましょう。年齢別の給料相場から初任給、ボーナス、都道府県ごとや働く施設ごとの違いまでを網羅し、比較しながら理解しましょう。

夜勤を入れて手当を増やす

老健やグループホームのように夜勤をともなう二交代制、三交代制の施設に勤務しているなら、夜勤回数を増やして夜勤手当を多くもらう方法もあります。また、夜勤をメインに働く「夜勤専従」のスタイルも、給料アップにつながります。

このように、日勤のみより収入アップにつながりやすい夜勤を中心にしたワークスタイルは、体調管理ができればおすすめの方法です。

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管理者などの役職に就く

介護職員として経験を積んで管理職にキャリアアップすれば、給料アップが望めます。介護施設での管理職には、リーダー職や施設長などの管理者という役職があります。

これらの役職は、勤続していれば必ずなれるものではありません。まずはリーダー職として介護職員と管理者との間に立つなど、実践で経験を積み、マネジメント力があるかどうかが見極められます。

決して簡単な道ではありませんが、介護業界で長く働き続けたいという人には、キャリアアップを目指すのも給料アップの方法になるでしょう。

別の職場に転職する

現在の職場でこれ以上給料アップが望めない、という限界を感じている場合は、思い切って転職をするのもひとつの手段です。

介護施設によって給料が大きく異なることも少なくありません。

現在働いている施設とは別の介護サービスに転職するだけで、給料がアップすることもあります。例えば、特別養護老人ホームや介護老人保健施設は、平均給料で見てもほかの施設よりも高めの水準です。

給料アップをしたい!と考えている方は、現在勤めている施設とは別の種類の施設への転職を検討するのも良いかもしれません。

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