看護師の給料はいくら?年齢別平均や給料アップの方法を知る

看護師の給料相場はどのくらいなのか詳しく見ていきましょう。年齢別の給料相場から初任給、ボーナス、都道府県ごとや働く施設ごとの違いまでを網羅し、比較しながら理解しましょう。

看護師の給料相場

看護師として働いた場合、月収や年収をどれほどもらえるのか、気になるところですよね。

厚生労働省の「令和元年賃金構造基本統計調査」によれば、看護師の平均年収は482万9,100円。 月収は33万4,400円で、ボーナスは81万6,300円でした。 調査対象の平均年齢は39.5歳で、勤続年数が8.2年となっています。

月収(各種手当込み) 33万4,400円
賞与額 81万6,300円
年収 482万9,100円
出典:「令和元年賃金構造基本統計調査」(厚生労働省) 時点

看護師の給料にはさまざまな手当が加わります。特に、夜勤がある職場では夜勤手当が付くので、勤務体系は給与額に大きく影響します。そのほかにも、経験年数や資格の有無によっても、給料が上がることがあります。

看護師の給料は勤務先や仕事内容によって給与が変動するのは他業種と同様ですが、看護師の仕事は患者の健康にかかわる、責任重大で専門的な仕事です。夜勤が発生することも多く、体力的・精神的に決して楽な仕事ではありません。

このような看護師の仕事の大変さを考えると、看護師の給与の高さもうなずけます。

1.年齢別、男女別の平均給料

厚生労働者が毎年6月に実施している「賃金構造基本統計調査」によると、平成29年の看護師の年収は男性492万円、女性478万円。年収ベースで比較すると、多業種より男女差は見られません。

看護師の男女ごとのグラフ

年齢別の年収は、新卒に当たる20歳から24歳が最も低く、男性367万円、女性390万円。一方で、最も高いのは50歳から54歳で男性575万円、女性537万円となっています。

年齢 月収(各種手当込み) 月収(各種手当て抜き)
20~24歳 29万7,596円 20万4,146円
25~29歳 32万2,787円 22万1,209円
30~34歳 33万422円 23万7,139円
35~39歳 35万7,238円 26万465円
40~44歳 38万1,514円 28万7円
45~49歳 39万3,883円 29万1,894円
50~54歳 38万2,309円 29万6,358円
出典:「2012年病院勤務の看護職の賃金に関する調査」(日本看護協会) 時点

以上の数字は非管理職の看護師の例で、看護師長や副看護師長などの管理職になると、上記の例と同じ45~49歳の給与総額が44万6,781円となり、管理職の勤務を継続すれば、さらなる給料アップが望めるでしょう。

2.初任給

看護師の初任給についてのイメージイラスト

看護師の初任給は、安定して上昇し続けているのが特徴で、2013年までの6年間においても、大卒で1.7%、3年課程卒で2%の上昇が見られています。

2013年の初任給の平均は、大卒で月額20万4,683円、3年課程卒で19万7,689円でした。

大卒の看護師は、3年課程卒よりも1年長く看護師としての知識と技術を習得しているとみなされ、1年分の昇給が加味された額であるため、初任給が高くなっています。勤務地によっても初任給は変動しますが、平均すると20万円程度と考えていいでしょう。

3.ボーナス

看護師のボーナスを「令和元年賃金構造基本統計調査」で見ると、男性、女性ともに最大は50歳〜54歳で男性116.4万円、女性99.8万円。年齢別の特徴として男性は年齢が高くなるにつれてボーナスの支給額もアップしています。

一方、女性は30代後半や50代後半で男性よりも金額が10万円から20万円前後低くなるのが特徴です。結婚や育児、介護などで女性のライフステージが変わる影響が出ていると考えられます。

4.給料明細、手取り額

看護師求人の情報などでわかる相場から計算すると、看護師の手取り額は18万円から24万円前後といったところです。もちろん、手取り額は病院の規模や経営母体をはじめ担当部署や各種手当、そして年齢や学歴などによっても異なります。

例えば30代の女性看護師で入院病床を持つ中規模の病院で手取り平均23万円から24万円前後をイメージしておくと良いでしょう。

看護師の所定内給与

労働契約や就業規則などで定められている基本的な給与を「所定内給与」と呼びます。

  • 基本給…給与の基本となる給料
  • 通勤手当(交通費)…交通機関の定期券代やマイカーのガソリン代など
  • 住居手当…賃貸マンションの家賃の補助など
  • 家族手当…配偶者や子どもに対する手当
  • 交代勤務手当…二交代制、三交代制に対する手当
  • 特殊勤務手当…夜勤や特殊な看護業務に対するもの
  • 資格手当…認定看護師など特別な資格に加算されるもの
  • 役職手当…主任や看護師長など管理職に関する手当

このように、基本給のほか各種手当で構成されています。

看護師の所定外給与

基本給のほか各種手当で構成されています。

  • 超過勤務手当(時間外手当)…一般に残業手当と呼ばれるもの。時間内に仕事が終わらなかった場合に支給される
  • 休日勤務手当…シフト上の休日に勤務した場合
  • 夜勤手当…夜勤や準夜勤など夜間に働いた場合で、深夜手当とも呼ばれる
  • 宿日直手当…宿直当番のある入院病棟の看護師長に対するもの
  • 拘束手当
  • 呼び出し手当

看護師が高い給与となるのは、夜勤手当や時間外手当など所定外給与でまとまった支給額があるためです。

5.看護師と准看護師の給料

准看護師より看護師の方が、給料が高くもらえるイメージイラスト

看護師と呼ばれる仕事には、ここまで紹介してきた「看護師(正看護師)」と、「准看護師」の2種類があります。

准看護師は、医師や看護師から指示を受けて補助を行う業務に当たります。どちらも資格が必要な仕事ですが、正看護師の資格が国家資格であるのに対し、准看護師は公的資格であるという違いがあります。

正看護師と准看護師には、給与面にも違いがあります。例えば、看護師の平均年収が500万円ほど、准看護師の平均年収は400万円ほどで、大きな差が出ています。

     
  平均年収
看護師 500万円
准看護師 400万円

ちなみに、近年、准看護師は廃止して看護師に一本化する議論が行われており、准看護師という職そのものが廃止されることが予想されます。

なぜなら、年々医療現場で求められる看護スキルが高まっていることもあり、准看護師養成のための教育水準では現場に対応できなくなってきていると考えられているからです。

6.大卒者と3年課程卒業者の給与差

新卒看護師の給与を学歴で比較すると、最終学歴が大学卒業者で平均月収は約27万4,000円。看護専門学校など3年課程の卒業者は26万6,000円。つまり、学歴による差は1万円程度となっています。

新卒の場合、病院側も最終学歴で待遇面に差が出るケースはそれほど多くはありません。中途採用になれば、学歴より過去の職歴や資格で優遇する場合が増えてきます。

7.生涯年収

看護師の初任給についてのイメージイラスト

看護師の生涯年収を新卒時が22歳、定年を59歳として推計すると、約2億円。厚生労働省による「賃金構造基本統計調査」から算出した金額です。

男女別では、男性は約1億9千7百万円、女性は1億8千5百万円。

あくまで参考数字ではありますが、一般的な職種よりも生涯年収が高い傾向なのは間違いないでしょう。

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都道府県ごとの平均給与額

1.給料の高いのは東京

全国47都道府県のうち、最も給与が高いのは東京で約509万円。全国平均約483万円より120万円ほど高くなっています。

一般に看護師の給料は、地方より都市のほうが高い傾向が強く、東京は厚生労働省の「令和元年賃金構造基本統計調査」でもトップです。

2.給料の安いのは宮崎

全国の都道府県で最も給料が低いのは宮崎県。約392万円で、東京より100万円以上、全国平均と比べても90万円近い差がついています。

地方はもともと物価が安く、大都市圏と比べて医療機関の規模も大きくないといった理由が考えられます。

働く場所ごとの平均給与額

1.老人ホーム

有料老人ホームや特別養護老人ホームなど介護施設に勤務する看護師は450万円〜550万円程度の平均年収が相場です。

交代制で夜勤をともなう入院病棟の看護師と差はあまりありません。ただし、夜勤がない、残業が少ないといった勤め先の場合は、400万円〜500万円程度となります。

ちなみに、老人ホームで働く看護師に求められることは入居者の健康管理。働く介護職員や協力医との連携が欠かせません。

2.大学病院

看護師の初任給についてのイメージイラスト

看護師の勤務先の中でも高年収が望める大学病院の平均年収は490万円ほど。看護師全体の平均年収のトップランクを占めています。

研究施設という側面があること、先進医療や感染症病棟を持つなど、大学病院ならではの業務の厳しさ、難しさも含むため収入につながっているといえるでしょう。

3.総合病院

総合病院に勤務する看護師の平均年収は465万円程度。看護師の年収の分布が多く集まる勤務先です。

総合病院は地域のかかりつけ医と高度医療を扱う救急病院とをつなぐ、重要な役割を果たしています。入院病棟で昼夜を問わない看護体制の中、ハードな業務をこなしていて、一般的な看護師のイメージに近い存在です。

ちなみに、国立病院や赤十字病院など公的な病院では官公庁のような「俸給表」という全国的に統一された給与体系になっています。

4.クリニック

街の内科や外科をはじめ、皮膚科、眼科など、かかりつけ医として日常的な地域医療を支える存在です。クリニックや診療所勤務の看護師は、平均390万円ほどの年収。

大学病院や総合病院より年収が50万円以上低い理由は、入院病棟のような夜勤勤務がないため深夜手当がつかない、所定の勤務時間以外で残業や休日出勤する必要がほとんどないから、です。

5.事業所規模別の平均給与

病院や介護施設など、勤務する施設の規模別に年収を比較すると、1,000人以上の大規模な事業所は約514万円。対して、10人〜99人の小規模な事業所の平均は437万円。その差は約80万円ついています。

ちなみに10人以上の事業所の平均年収は480万円。勤務先の運営母体の大きさも、年収に影響を及ぼします。

看護師の昇給の状況

看護師として働き続ける場合、給与が昇給する可能性があるのかという点は気になるところではないでしょうか。

ほかの業種と同様に、看護師も、基本的に勤続するほど昇給していきます。

日本看護協会が調査した、看護師の年齢別の給与額を見ると、20~24歳の給与総額は29万7,596円、約10年後の30~34歳には給与総額が33万422円で、約10%の上昇が見られました。

さらに長く勤務することで給与総額もアップし、45~49歳まで勤めた場合、約32%アップの39万3,883円まで上昇しました。

役職別の平均給与額

経験や年齢にあわせて職場で管理職に昇進すれば、役職手当がついたり、基本給自体がアップしたりします。看護師の昇進イメージは、「看護副師長→看護師長→看護副部長→看護部長」です。

看護部長やの一般的な平均年収は600~650万円になります。一方で、看護師長の平均年収は約550万円。高給を目指すなら役職獲得を意識した働き方が必要になってきます。

看護師が給料を上げるため方法とは?

看護師が給料をさらに高くもらうイメージイラスト

看護師がさらに収入アップを目指すための、いくつかの方法をご紹介しましょう。

1.訪問看護を行う

高齢者のなかには、在宅介護を受けていて、外出することが難しい状態の人も少なくありません。

訪問看護では、そのような人を対象に、ケアマネージャーからの依頼を受けて要介護者の家を訪問し、医師の指示の元で、医療行為や人工呼吸器などの医療機器管理、介護予防のアドバイスやターミナルケア(※)など、幅広い業務にあたります。

※ターミナルケア…余命わずかの人が、人生の残り時間を自分らしく過ごせるようにするために行うケア

訪問看護の特徴は、手当が充実している点です。時間外手当やオンコール手当などがあることから、給料アップにつなげやすいです。また、高齢化が進む中で在宅看護を必要とする人も増えつつあるため、将来性が高いと考えられます。

2.認定看護師などの専門資格を取得する

看護師の資格に加えて、「認定看護師」や「専門看護師」などの専門資格を取得しておくと、スキルアップができるだけではなく、資格手当や昇給にもつながりやすくなります。

「認定看護師」は、救急看護などの特定分野で、高い水準の看護知識と技術を持つ看護師の資格です。特定分野での看護の実践はもちろん、ほかの看護師への指導や相談も行います。

「専門看護師」は、がんなどの特定分野で、高い水準の看護を患者とその家族へ提供、相談や問題解決を行う看護師です。

必ずしも専門資格保持者に手当が付くとは限りませんが、管理職に昇進して給与アップする可能性は高くなります。

3.管理職へ昇進する

病院、診療所で医師のサポートをすることが仕事のイメージイラスト

管理職とは、看護部長や看護師長、主任などの役職にあたります。看護師から病院の副院長に昇進するケースもあり、副院長まで昇進すれば大幅な年収アップも期待できます。

もちろん、これらの管理職は人数が限られているので、簡単に就ける職ではありません。しかし、認定看護師などの専門資格を取得していると、専門的知識や技術を持っていることが認められるため、管理職に昇進しやすくなるでしょう。

4.給料などが充実しているところへ転職する

「給料をあげたい!」と考えたときは、手当が充実している職場への転職も検討してみるのも良いかもしれません。

看護師に付くことが多いのは、夜勤に付く「夜勤手当」ですが、同じ夜勤手当でも職場によって差が出てきます。場合によっては、深夜割増が夜勤手当とは別に付くこともあります。

また、社会保険団体が設置主体となっている病院や、病床数が多い病院も、比較的給与が高めです。特に、病床数が多い病院は、病床数が少ない病院よりも大幅に給与に差が出ることがあるので、こうしたことを念頭に置いたうえで転職先を探すのが良いでしょう。

病床数が多い病院は給料が高い

運営規模が大きく、入院病棟をいくつも持つ病院ほど給与も高くなる傾向があります。日本看護協会が発表した「2017年 病院看護実態調査」で病床別に見た税込給与総額は500床以上で34万6,339円。99床以下の小規模な病院の31万1,998円に比べて 3万円以上の差があります。

規模が大きいほど基本給だけでなく手当や福利厚生が充実しているため、年収に差が出てくることも考えられます。

看護師の仕事は医師をサポートすること

病院、診療所で医師のサポートをすることが仕事のイメージイラスト

看護師は、病院や診療所などの医療機関で、医師の診療の補助や、怪我や病気の患者に対して療養上の世話などの看護を行います。

診療の補助とは、医師の診察や治療検査をサポートするほか、注射や採血、点滴などを医師の指導の元で行うことです。

また療養上の世話は、患者への指導や観察、ケアなどを行うことで、医師などの医療機関のスタッフと患者を結びつける大事な役割です。

看護師の仕事は、働く場所によって働き方が大きく異なることもあります。例えば、日勤のみで働ける病院がある一方、入院患者がいる病院では24時間交代での勤務となることが多くなります。

また、入院患者がいる病院の勤務内容も、診療所などでは行われないことが多い、入院患者に対するケア食事や排尿介助、検温や血圧、脈拍測定などの「バイタルチェック」や体位交換、移送などが仕事に含まれます。

さらに細かく見ると、同じ病院内でも救急救命センターや一般病棟、ICUなどで働く場合は、それぞれの場所の特性によって看護師の勤務内容が変わってきます。

救急救命センターで働く救急看護師は、一刻を争う状況の患者に処置を行うため、救急蘇生処置や止血を行うことも増えるでしょう。

重篤患者の治療にあたるICUでの勤務では、24時間モニター監視を行い、わずかな変化を見極めて速やかな治療につなげる必要があるなど、より業務内容の責任が大きいこともあります。

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